1シーズン2球団セーブの珍記録達成&148試合目で100SのNPB最速記録樹立した中日の守護神とは!?【プロ野球助っ人外国人列伝】

助っ人外国人列伝/中日ドラゴンズ編

日本球界を彩ってきた助っ人外国人選手たち。「ラブすぽ」が独自に選んだ選手を紹介する。

148試合目で100セーブを挙げるNPB最速記録を樹立!エディ・ギャラード

【投手第4位】エディ・ギャラード

〈NPB通算データベース〉
・勝利 6勝
・敗戦 9敗
・セーブ 120S
・防御率 2.90

メジャー意識の高かった孤高の右腕

1999年に中日の絶対的守護神のソン・ドンユルが引退を表明した中日。このころの中日には若手の岩瀬仁紀や落合英二が成長著しく、ソンの代わりにストッパーを務めることもあったが、指揮官の星野仙一は新外国人の守護神獲得を要請する。白羽の矢を立てたのがエディ・ギャラードである。

1970年、ニュージャージー州出身のギャラードは、フロリダサザン大学を卒業した1993年にMLBドラフト13巡目でタイガースから指名受けて入団する。

しかし、メジャーの壁は厚く、1997年に昇格して16試合に登板するも1勝1セーブの成績しか残せず、翌年はデビルレイズ、1999年がレッズと移籍を繰り返していた。

そしてレッズのMLB開幕ロースターから漏れてしまったギャラードは、中日からのオファーを受け入れて日本にやって来た。メジャーリーガーとしての意識が高かったギャラードは、そのプライドの高さが後に問題の引きがねとなる。

余談だが、ギャラードが背負った背番号「18」は、プロ野球におけるエースナンバーだが、中日では2桁勝利を挙げたのが1979年の星野仙一までさかのぼる苦難の歴史があった。その黒歴を断ち切るべく、背番号「18」はギャラードに託されたのである。

来日1年目で最優秀防御率のタイトルを獲得

ギャラードが来日した2000年は、同じメジャー上がりのメルビン・バンチも同時入団する。先発で勝ち星を重ねるバンチに対抗するようにギャラードの右腕もうなりを上げ、守護神として力強いピッチングを披露する。

150キロ強のストレートを軸に、右打者はカーブとスライダー、左打者にはチェンジアップを有効に使ってバッターを翻弄。安心感のあるセーブを重ねてソンの抜けた穴をしっかり埋め、チームはペナント前半戦を2位で折り返す。

オールスターにも出場したギャラードは後半戦も躍動。優勝を争っていた巨人戦で江藤智と二岡智宏に本塁打を浴びて優勝を献上してしまったが、年間成績は1勝2敗、35セーブ、防御率2.68と充分な働きを見せている。

また、セーブ王を獲得しているが、1年目の助っ人外国人で同タイトルを獲得したのはギャラードが初めてであり、チームにおける背番号「18」の黒歴史を断ち切る働きを見せた。

2年目の2001年は岩瀬、落合とともに勝利の方程式を形成。同等のセーブ数に加え、防御率が良化する頼もしいピッチングが冴え渡り、2002年は34セーブで2度目のセーブ王に輝くなど、球界を代表するストッパーとなった。

このように実績を見ると申し分ないのだが、ギャラードはとにかくプライドが高く、短気でもあったことから首脳陣は苦労したという。

指揮官の山田久志監督が「プライドが服を着て歩いているようだ」と評したが、ギャラードは納得がいかない投球をすると、ベンチ裏で備品を蹴り飛ばしたり、首脳陣に八つ当たりもした。山田の形容はまさに言い得て妙だったのかもしれない。

1シーズン2球団セーブの珍記録を達成

33歳で迎えた2003年のシーズンは、球速が落ちたことからピンチを招く場面が増える。それでも要衝を締める投球はさすがのもので、148試合目で100セーブを挙げるNPB最速記録を樹立。

しかし、6月の練習中に右手を負傷して初の2軍落ち。その後、ギャラードの代役として近鉄からポスティングシステムでメジャー移籍を目指すも、入札がなかったことで中日入りした大塚晶文が守護神に抜擢された。

大塚が好調だったことから、ギャラードは復帰後に中継ぎへの転向を打診される。するとこの打診がギャラードのプライドを傷つけ、「抑え以外は絶対にやらない」と断固拒否してしまう。歩み寄らない両者の対立は決定的なものになってしまった。

結局、この騒動でギャラードは自由契約となり、横浜ベイスターズに移籍する形で決着を見た。移籍直後の中日戦でギャラードは古巣打線を抑え、史上初の1シーズン2球団セーブを記録している。

2004年まで横浜でプレーを続けたギャラードは、2005年からアメリカに戻り、ロッキーズとマーリンズのマイナーでプレー。だが、メジャーに昇格することはなかった。

なお、ギャラードが横浜ベイスターズに移籍した2003年に大塚晶文も中日を退団。二人のストッパーがいなくなったことで、翌年から監督を務める落合博満が岩瀬を守護神に抜擢。

その後、数々の偉業を達成する岩瀬の活躍ぶりは改めて説明するまでもないが、ギャラードの移籍がなかったら名ストッパーの誕生はなかったかもしれない。

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