【早出し】白浪五人男、雨中堂々と 酒田・黒森歌舞伎の正月公演

「青砥稿花紅彩画」を上演した黒森歌舞伎の正月公演=酒田市・黒森歌舞伎演舞場

 酒田市黒森地区に伝わる県指定無形民俗文化財「黒森歌舞伎」の正月公演が15日、同地区の演舞場で上演された。雪中芝居でおなじみの同歌舞伎が暖冬の影響で“雨中芝居”となり、多くの人が傘を手にしながら役者たちの熱演に拍手を送った。

 今年の本狂言の演目は盗賊・白浪五人男の因果を描いた「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」。このうち、1幕目の「浜松屋の場」は江戸時代中期から続く同歌舞伎の歴史上初めて演じた。武家の娘に扮(ふん)していたことが見破られた五人男の1人弁天小僧菊之助が、居直って「知らざあ言って聞かせやしょう」から始まる名ぜりふを言う場面では、会場から「待ってました」とのかけ声が上がった。3幕目の「稲瀬川勢揃(せいぞろ)いの場」では五人男が1人ずつ見えを切った。

 この日は雨の影響で、同じく初上演の予定だった2幕目の「奥座敷の場」は省略された。公演は17日にもあり、3幕全て上演する予定。3月3日には同市希望ホールで酒田公演も行う。

「青砥稿花紅彩画」を上演した黒森歌舞伎の正月公演=酒田市・黒森歌舞伎演舞場

© 株式会社山形新聞社