お金があれば人生は充実する?本当の幸せを掴むために大切な「目に見えないもの」

(※写真はイメージです/PIXTA)

何をするにもお金が必要な現代において、たくさんお金があって何でも買える生活に一度は憧れるものです。しかし、目に見えるものに夢中になって、本当に大切にすべきことを見失ってはいませんか? 『買わない暮らし。片づけ、節約、ムダづかい……シンプルに解決する方法』(大和出版版)著者筆子氏が貯金に回せるお金の使い方について解説します。

お金より大切なものは目に見えない

人生で大切なものは、目に見えないものです。

小学校の卒業文集に載っていた先生たちの贈る言葉で、今でも覚えているものがひとつだけあります。「空気や音楽など、目に見えないものを大事にしよう」。

正確な文言は忘れましたが、こんな言葉のあとに、横笛を吹いているイラストが添えられていました。

これを見たとき、「なるほどね。確かに空気や音楽は、ないと困るよね」と思いました。先生の言葉に、妙に納得したことを、今も覚えています。

言われてみると、人間関係、愛情、友情、気遣い、眼差し、想像力、ゆったりと流れる時間、楽しい時間、穏やかな気持ち、達成感、自由。皆、目に見えません。

どれも大事ですが、目に見えない分、わかりにくいし、あるのが当たり前だと思いがちです。普段忙しく暮らしていると、こうしたものの素晴らしさになかなか気付きません。代わりに、目に見えるわかりやすい物を追い求めてしまうのです。

かつて私はたくさん物を買い、部屋に置いていました。「かわいいな」「素敵だな」と思う気に入ったものをたくさん持てば幸せになれると、なんとなく思っていました。

ところが、お気に入りであるはずの物をたくさん揃えても、気持ちは満たされませんでした。私が本当に求めていたのは、物ではなく、その物を手に入れると起こりそうな生活だったからです。

物を買うことで実現したかった生活を考えてみると、その暮らしには、目に見えない、いいものがたくさんありました。温かい人間関係、楽しい時間、満ち足りた気持ち、自由な毎日。

物を買っても、そうしたものは手に入らないのに、買い続けていました。

「モア・イズ・ベター」がよいとは限らないワケ

「モア・イズ・ベター」とは「物をたくさん所有すればするほど、いい人生になる」という考え方です。物を手に入れるためにはお金が必要だから、モア・イズ・ベター精神で生きると、人生の目標はお金を稼ぐことになります。

このマインドセットを持ち、お金を稼いで、物をどんどん買っていくと、人はあることに気付きます。いくらお金や物があっても、満足できないということに。

アメリカに、年収1千万円の仕事をやめ、所持品の8割を捨ててミニマリストになったジョシュアとライアンという人がいます。

今、お金に苦労している人は、「なぜそんなに給料のいい仕事をやめてしまったの?」「ミニマリストになったり、不用品を捨てたりするのは、ぜいたくな人のやることじゃないの?」なんて思うかもしれません。

彼らはアメリカンドリームを信じ、稼いだ給料以上に物やサービス(たとえば、皆がうらやましがる豪勢な休暇など)にお金を使いすぎました。その結果、クレジットカードの借金がふくれ上がり、ストレスが増え、いつも不幸せでした。

2人は、「お金を稼いだほうが幸せになれる」と思い、それをゴールにしていたから、かえって不幸せになってしまったのです。

「お金や物が幸せの鍵ではなかった」と気付いた2人が、「お金があればあるほど幸せだ」という考え方を手放したら、前より充実感のある暮らしになりました。

「それはそうかもしれないけど、やっぱりお金は必要だ」と思う人は多いかもしれません。「お金で幸せは買えない」ということに同意しても、「でも、人生の問題の9割くらいはお金で解決できる」と信じている人が多いのではないでしょうか?

確かにお金があれば、いろいろな便宜を手に入れることができます。それは多分、快適なことでしょう。あまりにもお金がないと人間的な暮らしをするのもままなりません。

しかし、モア・イズ・ベター精神のままでいると、いろいろな物をどんどん買ってしまいます。より大きな家や別荘、素敵な車、最新のガジェット。いつまで経っても終わりがありません。こんな買い物を続けながら、満たされない気持ちでいるのは、物やお金から自由になっていないからです。

人生の目的は数を集めることではありません。より充実した人生とは、できるだけ多くのお金を手にすることではなく、できるだけ多くの自由を手にすることではないでしょうか?

筆子

ブロガー

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