岡山放送、第76回香川丸亀国際ハーフマラソン「手話実況付き」生中継を実施 / Screens

岡山放送株式会社(本社:岡山市北区下石井二丁目10-12 、以下OHK)は2月4日、丸亀市などで開催された第76回香川丸亀国際ハーフマラソンを「手話実況付き」の生中継を実施した。

OHKが30年継続している手話放送とスポーツ実況中継のノウハウを生かし、誰もが当たり前にスポーツ観戦を楽しめる環境を創出しようと全国初の地上波放送を実施したもので、1時間20分全編にわたり、ろう実況者がリアルタイムで手話実況が行われた。

「手話実況」とは、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(東京都文京区、理事長:豊田章男)が企画した2022年アイデアコンテスト「Make a Move PROJECT」から誕生したもので、多様な人がレース観戦を楽しむためのアイデアとして2022年10月、OHKがモータースポーツ手話実況を日本で初めて実施。音声実況を健聴者が手話通訳し、それを見たろう者が自身の言葉として手話で実況するスタイルは画期的な取組として、その後も同基金の助成を受けながら「OHK手話実況アカデミー」を創設し、人材育成と技術向上を目指しさまざまな研修や実践を行っている。

今回の手話実況は、OHK手話実況アカデミー生でデフアスリート(聴覚に障がいを持つアスリート)である早瀬憲太郎さんがろう実況を担当、手話通訳者が伝える音声実況内容やレースの映像から読み取るリアルタイム情報と、自ら事前取材した選手や競技に関する情報を、白熱したレース展開に合わせて手話で表現。

手話実況は、聴覚障がい者への情報保障だけではなく、言葉の意味をくみ取り具体的に表現する手の動きや表情も含めた感情伝達は、聴覚に障がいがない人にもマラソンの魅力を改めて知ってもらう機会となる。今回はマラソン中継スタッフ、手話通訳者、ろう者の3者が協力し、約2か月間研修や検討を重ねたという。すべての人にスポーツの魅力を伝え
る『手話実況for ALL』として、インクルーシブな放送の実現へ大きな一歩に。

実際に放送を見たろう者は、「これまでマラソンに興味がなかったが、手話がついていたのでとても楽しめた」「すごくよかった。字幕は字幕で分かるが、ろう者が手話実況するとはっきりと分かった。楽しめるという想いがした」、また健聴者は「手話から躍動感や臨場感が伝わった。スタート号砲や関門通過など遅れることなく的確なタイミングで情報が出ていることに感動した。競技にのめり込むことができた」など感想が寄せられた模様。

OHKはこれからも放送局として誰もが情報にアクセスできる環境づくりを推進するとともに、2025年に日本で初めて開催されるろう者のオリンピック「デフリンピック」に向け、障がいの有無にかかわらず誰もがスポーツ観戦を楽しめる機会創出を目指し、「情報から誰一人取り残されない社会」の実現へ努めていく方針だ。

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