トランプ前大統領の「口止め料」裁判、来月開始を決定 刑事事件で初の公判

ドナルド・トランプ前米大統領(77)が元ポルノ女優との性交渉を隠そうと口止め料を支払ったとして起訴された裁判について、ニューヨーク州地裁は15日、公判を来月開始すると決定した。米大統領経験者が初めて、刑事裁判で法廷に立つことになる。

前大統領はこの日、自ら裁判所に出廷。裁判を却下か延期するよう求めた。

しかし、ホアン・マーシャン判事は、裁判の日程が大統領選挙の選挙運動を妨害するとのトランプ氏側の主張を受け入れず、3月25日に裁判を開始すると決めた。

トランプ氏は法廷を出た後、この決定を「みっともない」と批判。「私が再び立候補しているのは明らかだ。選挙に立候補しながら、同時にマンハッタンの裁判所に一日中座っているなどありえない」と述べた。

前大統領の弁護団も同様の主張をしていたが、マーシャン判事は法的根拠がないと退けた。

トランプ氏は11月の大統領選で、共和党候補となって民主党のジョー・バイデン大統領と再び争うと見込まれている。トランプ氏は現在、党候補の指名を得るため各州の予備選に臨んでいる。

口止め料めぐる疑惑

トランプ氏は、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏への支払いを弁護士費用と偽るために業務記録を改ざんしたとして、34件の詐欺罪でニューヨーク州マンハッタン地区検察のアルヴィン・ブラッグ検事によって起訴された。

ダニエルズ氏は、トランプ氏が大統領候補だった2016年に、同氏との性交渉について口外しないとの条件で13万ドル(現在の為替レートで約2000万円)を受け取ったとしている。一方、トランプ氏は両者に性交渉はなかったとしている。

トランプ氏は4件の刑事裁判に直面しており、この裁判はその一つ。まず陪審員12人を選ぶことから始まる。

トランプ氏の弁護団と検察、マーシャン判事はこの日、陪審員の選出方法を協議した。トランプ氏の世界的な名声と、同氏を取り巻く深い政治的分裂を考慮し、弁護団と検察はそれぞれ、陪審員を選ぶ際にどんな質問をしたいか述べた。

この日の公判は、トランプ氏に関係するジョージア州での別の裁判と期日が重なった。同州では、2020年大統領選の敗北を覆そうと不正をしたとしてトランプ氏を起訴したファニ・ウィリス検事について、雇用した特別検察官と不倫関係にあった疑惑が浮上しており、トランプ氏の裁判への影響などを判事が検討している。

(英語記事 Donald Trump's hush-money trial set to begin next month

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