新NISAの成長投資枠。個別株投資の銘柄選びってどうすればいいの?

人気の投資信託で組入比率が高い銘柄をチェック

ここでは、有望株は一度買ったら長く保有することを前提に説明していきます。結論から言ってしまうと、米国株なら人気の投資信託である「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に組み入れられている上位の銘柄から選ぶという方法があります。

それぞれの投資信託について、上位10銘柄を確認してみましょう。

図表1
〇eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

※三菱UFJアセットマネジメント 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 投資信託説明書(交付目論見書)」より筆者作成

図表2
〇eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

※三菱UFJアセットマネジメント 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 投資信託説明書(交付目論見書)」より筆者作成

いずれの投資信託も一部を除き、ほぼ同じ企業名が並んでいます。聞いたことのない名前もあるかもしれませんが、ほとんどが知っている企業でしょう。

図表1、2は2024年1月31日時点のものですが、上位銘柄のなかでも低迷している中国経済の影響を比較的受けやすい企業は、アップルとテスラではないでしょうか。

アップルは、中国市場におけるスマートフォンの需要の落ち込みが指摘されており、中国で値下げ販売を行ったという報道も記憶に新しいかと思います。

また、テスラについては、最高経営責任者のイーロン・マスク氏の個性が際立っている企業といえますが、こちらも中国のEV(電気自動車)市場の低迷を受け、2023年から何度か値下げ販売を行っています。

一方、今後に期待される人工知能(AI)に関連する銘柄としても名を連ねているのが、マイクロソフトやアマゾン、エヌビディア、メタ・プラットフォームズといったところではないでしょうか。アルファベット(グーグル)もAI事業は展開していますが、基本的には広告企業であるため、これらの銘柄と比べると毛色が異なります。

その他では、ヘルスケア企業のユナイテッドヘルス・グループ、医療・バイオ関連のイーライ・リリー、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社のバークシャー・ハサウェイが上位銘柄に組み入れられています。

このように見ていくと、主にハイテク系の企業が目立ちますが、ユナイテッドヘルス・グループ、イーライ・リリー、バークシャー・ハサウェイといった業績が景気に左右されにくい、いわゆるディフェンシブ銘柄も含まれていることが分かります。

上位10銘柄から一つ選ぶとしたら、どうする?

人気の投資信託で組入比率が高い上位銘柄とはいえ、個別株への投資に当たり、これらのなかから一つの銘柄を選ぶとなると迷うかもしれません。

米国の金融・経済政策をはじめ、企業の事業内容、決算書などを確認して決めるのが本筋ではありますが、投資初心者にとってはハードルが高いでしょう。そのため、そこまで手間や時間をかけたくないなら、自分が一番好きな企業、身近に思える企業、事業や業績などを簡単にでも調べてみたいと興味がわく企業、といった基準で選んでみるのも一つの方法です。

ちなみに、現状ではエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトが半導体銘柄、AI銘柄として成長性が期待できると注目を集めています。

また、損失のリスクを避けて防衛的に運用を行いたいという場合、ユナイテッドヘルス・グループ、イーライ・リリー、バークシャー・ハサウェイは、ハイテク系の企業と比べると値動きは安定的といえるでしょう。

まとめ

今回の記事は、必ずしも銘柄の推奨を目的としていません。あくまでも銘柄選びの方法を示したもので、オール・カントリーやS&P500連動型の投資信託だけでなく、個別株にも投資したいが、どう選べばいいか分からないという方に向けた簡単な方法です。

さらにしっかりと銘柄を選びたいという場合、例えばNISA口座を開設しているサイトで調べる、投資に関する書籍や動画で勉強する、専門家の意見を聞くなど、さまざまな方法があります。

初めは少しずつ経験を積みながら、最終的に経済の動向や企業の決算書などをチェックして銘柄選びができるようになると、投資がより楽しくなるのではないでしょうか。

出典

三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 投資信託説明書(交付目論見書)
三菱UFJアセットマネジメント eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 投資信託説明書(交付目論見書)

執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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