【疑問】株式、投資信託も…証券会社が倒産したら私の資産はどうなるの?

証券口座を守る「2つの制度」とは

2024年から新NISAがスタート。NISAとは、個人の資産形成を支援するために2014(平成26)年に始まった「少額投資非課税制度」です。

人生100年時代、自分の力で資産形成をすすめていくことが重要視されています。

一般的に投資を始めるには証券口座を開設する必要があり、多くの方が証券会社を選ぶことになるでしょう。

投資というと元本割れのリスクが注目されがちですが、銀行と同じく企業である証券会社。つまり、少なからず倒産の可能性も捨てきれません。

証券会社が倒産すると私たちの資産はどうなるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

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証券会社が倒産しても「資産」は守られる、その理由は?

結論、証券会社が経営破綻しても、投資家が保有している株式や債券などの資産は基本的に守られることになります。

その理由として、証券会社に課せられている資産管理方法が挙げられます。

理由:証券会社には「分別管理」の義務があるから

【図解】証券会社の仕組みと「投資者保護」

証券会社は自社資産と顧客の資産は別にして管理することが金融商品取引法で定められています。

そのため、証券会社が破綻したとしても私たち投資家の資産には関係がないため、守られるということになっているのですね。

証券会社に貸した商品は補償されない可能性も

しかし、証券会社に貸し出す商品のなかには補償対象外となっているものもあります。

ポイントは、証券会社に存在する「貸株」という制度。これは保有する株式を証券会社に貸し出すことで金利を得る制度ですが、この場合株式の名義人は証券会社になっています。

これにより、証券会社が経営破綻すると自分の元に返ってこない可能性があるのです。

証券口座の設定によって自動で設定されている場合もあります。気になった方は、一度確認してみるとよいかもしれませんね。

ちなみに、NISA口座内の資産は貸株設定できません。そのため「NISAしかやっていない」という方は心配は不要といえます。

理由:日本投資者保護基金から「1000万円を限度」に補償されるから

【図解】投資者保護基金による補償

万が一、破綻した証券会社が分別管理の義務に違反していた場合でも、投資家に対して補償があります。

証券会社が返還できない資産については、日本投資者保護基金が一人当たり上限1000万円まで補償を行ってくれます。

この際、補償対象となる投資家は、投資者保護基金の会員となっている証券会社の顧客のうち、金融機関などの適格機関投資家や国、地方公共団体など、いわゆる「プロの投資家」を除いた一般顧客です。

また、対象となる取引は、一般顧客から証券会社に預けられている資産(金銭と株式・債券・投資信託などの有価証券)。

株価の下落や、債券の発行者がデフォルト(債務不履行)を起こしたために利金や償還金が支払われない場合などは補償されないため、頭に入れておきましょう。

二重のセーフティネットが資産を守ってくれる!

証券口座の資産は二重の制度で守られているということを確認してきました。

銀行の預金口座などと同様に、証券口座も複数保有できます。

たとえば、1000万円ずつ複数の証券口座を作成しておけば、証券会社が違反をしていても実質的には全額補償を受けられる形といえるでしょう。

新NISAをはじめとする投資信託や株式取引などに対して不安を抱えている人は、制度面の複雑さが原因となっているケースも少なくないと思います。

色々と情報を集めたり、経験者に話を聞いたりして、不安を解消していけるとよいですね。

参考資料

  • 日本投資者保護基金「投資者保護とは」
  • 日本証券業協会「投資の時間」

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