ヨーロッパリーグ(EL)のベスト16進出を懸けたプレーオフ、フェイエノールト対ローマの第1レグが2月15日に行なわれ、試合は1-1で引き分けとなった。
フェイエノールトのスロット監督が試合後、「過去4試合と比べてローマがビルドアップを変えてきたので、最初の20分間は対応に苦労した」と振り返った通り、立ち上がりはローマペースで進んだ。
フェイエノールトが流れを掴み始めたのは19分、左SBハルトマンのクロスを上田がヒールで合わせてシュートを放った頃から。
33分には、スロット監督が「この日、最高に素晴らしかった」と語った攻撃が生まれた。それはフェイエノールトがショートパスをつないでローマを押し込み、ハルトマンのサイドからの楔を上田が落として右ウイングのミンテーがシュートを放ったシーン。
しかし、スロット監督が「綺世はマッツ・ウィーファーに落とすべきだった」と説明したように、上田のタッチが微妙にブレて、ウィーファーを越してミンテーに渡ったのは惜しまれる。
40分過ぎから再びローマがチャンスを作り始めたが、前半アディショナルタイムにフェイエノールトがパイションのヘッドで先制した。
後半開始直後、ハルトマンのパスを受けた上田が体幹の強さを発揮してジョレンテのマークをブロックし、FKを獲得。味方が短く出したFKを上田が思い切ってシュートを撃ったが、壁から飛び出したボーベの腰に当たって得点はならず。
上田は68分、ふくらはぎの負傷から復帰したヒメネスと代わってベンチに退いた。日本代表でのゴールゲッターぶりをフェイエノールトでなかなか発揮できない上田だが、ヒメネスへのチャントが止むと、上田にもサポーターから応援歌が贈られた。
アジアカップから戻ってきて、AZ戦(KNVBカップ準々決勝、2−0)でフェイエノールトに復帰し、スパルタ戦(オランダリーグ、2−0)、ローマ戦と連続してスタメンに抜擢された上田は、「2試合連続で先発し、自身としてはリズムを作りやすいか?」と問われ「もちろん」と言ってから、こう答えた。
「相手が全然違いますけれど、少しずつ良くなっている部分もあると思う。そこは自分の中でも多少感じられるところがありました」
この日はローマのDF陣の背後を取る動きが少なく、敵のゴールに背を向けてボールを受けるシーンが多かった。
「今日は距離感がそんなに良くなかった。背後に走っても孤立するし、実際、ラインもそこまで高くなかったので。逆に(スパルタのように)スペースを潰してドン引きしてくる感じでもなかった。楔でボールを受けると1対1になる。(後半開始直後の)FKを得たシーンとかもそうですが、ああいうシーンを意図的に増やせたら良かったなと思います」
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ベンチに下がる直前、上田がローマDF陣の裏を取ろうとしたことで、ステングスにスペースが生まれ、そこからミドルシュートを撃ったシーンがあった。
「味方が良い状況でボールを持てば、もちろん敵の背後を狙います。そのことによってスペースが作れたというのは、多少(自分の動きが)機能したんじゃないかなと思います」
しかし、この日の上田のパフォーマンスが良かったとも言い難い。記者から「交代後、サポーターからチャントがありました。最低限の期待に応えたという手応えは?」という質問を受けると、上田は言った。
「いやあ、そんなことはないです。期待してもらっているのは自分でも自覚している。それに結果で応えないといけないけど、期待にはなかなか応えられていないと思います」
――やはり1つゴールが(欲しい?)...。
「はい、そうですね。ゴールを獲るのが仕事なので、なかなか仕事ができていない感じです」
1つのゴールをきっかけに自信を掴むのがストライカー。その1つが今は何よりも待ち遠しい。
取材・文●中田 徹