錦戸亮が地上波ドラマに帰還! “カッコいいけど少し残念”特性は宮藤官九郎と相性抜群

宮藤官九郎が脚本を手がけ、阿部サダヲが主演を務めるTBS金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』の第5話ゲストとして、錦戸亮が出演することが発表された。錦戸の地上波ドラマへの出演は『トレース~科捜研の男~』(2019年/フジテレビ系)以来5年ぶりとなる。

本作には、犬島渚役で仲里依紗が出演しているが、宮藤の脚本で仲の出演作といえば、本作と同じくTBS制作で、現在Netflixにて配信中の『離婚しようよ』が思い浮かぶ。この作品は、自分たちは離婚したいのに、様々な事情により離婚への道が厳しい俳優・黒澤ゆい(仲里依紗)と新人議員・東海林大志(松坂桃李)夫婦が一致団結して離婚へと突き進むホームコメディ。錦戸はこの作品に、ふとしたことでゆいと知り合う加納恭二として出演しているのだ。

恭二は自称“アーティスト”で怪しさ満点なのだが、とにかく色気が漏れており、一度会ったらなかなか忘れられない人物。ゆいも恭二と道端で一度ぶつかっただけなのだが、ふんわりと香ったタバコの香りで彼を覚えてしまっていた。次の日、なんと恭二は同じところでゆいを待ち伏せ。年齢より幼く見えるキラキラの笑顔を見せながら「ここにいればもう一度、会えるかもと思って」と言って、ゆいをパチンコに誘ったのだ。

こんなにもわかりやすく“ダメ男”として描かれているのに、恭二は魅力的で、ゆいもそれに抗うことができなかった。本当ならばゆいは夫婦で参加するイベント準備のため、大志の実家である愛媛に行かなければならないのに、その予定を蹴り、恭二と夕食を共にして、なんとなく手を繋いでしまい……と沼に沈んでいくのだった。自然体でありながらやや強引で、いつの間にか自分のペースに人を巻き込んでしまう恭二を錦戸は見事に演じてみせていた。

錦戸は本作のプロデューサー・磯山晶と宮藤がタッグを組んだTBS日曜劇場『ごめんね青春!』(2014年)で主演も務めている。この作品で演じたのは、過去の失恋がトラウマで女性不信気味の国語教師・原平助。頼りなくて喧嘩も弱く、周りから見ると褒める点がすぐに見つけられないが、彼を慕う生徒や母親も多く、「へいちゃん先生」と呼ばれて親しまれていた。

ただ、突発的な行動力は凄まじく、高校時代に恋をした祐子(波瑠)と親友のサトシ(永山絢斗)が自分に内緒で付き合っていると知った時は、それに怒り、自分が通っていた高校の屋上から、すぐ隣で、祐子が通っていた女子高へ向かってロケット花火を20発以上を打ち込んだことがある。不安定な高校生ならではの理由と行動で、笑ってしまうが、平助は大人になった今でもこの時の行動をずっと気にしているのだ。それもおかしく、なんだかかわいく思えてしまう。

この『離婚しようよ』や『ごめんね青春!』で錦戸が演じた人物に共通するのは、カッコいいけど、どこか抜けていて、クスッと笑えてしまうような言動をするということ。カッコいいだけで目を引くのに、放っておけない雰囲気をムンムンに漂わせてくるのだ。それが、錦戸が演じるキャラクターがいつの間にか目が離せない、印象的なものになる要因になっているのではないだろうか。

『不適切にもほどがある!』の第5話で錦戸が演じる役でわかっているのは、昭和時代に登場する“重要な役柄”ということだけ。はっきりとわかっていないことが多いが、その分、どのように登場してくるのかとワクワクしてしまう。きっと、また視聴者の気持ちを掻き乱す、いろいろな意味で罪な男なのではないかと予想している。本作では、佳境になると突如始まるミュージカルシーンが大きな話題となっている。もしかしたら錦戸が歌うこともあるかも……? そんな期待をしながら放送を楽しみにしていたい。
(文=久保田ひかる)

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