霧の名所・北大東島で放射霧を見た 目撃するための条件とは【動画あり】

 

 2月のはじめ、休みを頂いて北・南大東島へ行ってきました。沖縄は夏をイメージする方も多いと思いますが、冬の大東島を紹介したいと思います。

 私が真冬に訪れた目的は、冬ならではの特徴的な天気や昨年から続く異例の少雨の状況、沖縄で最も遅い桜の開花、サトウキビの収穫などの現地取材です。

 また、1月30日の沖縄タイムスに、「日本トランスオーシャン航空(JTA)と琉球エアーコミューター(RAC)は8月1日から、那覇と南大東と北大東の3区間を結んでいた既存の三角運航をやめ、那覇と両島をそれぞれ結ぶ直行便を増便する」という記事が掲載されていました。まさしく今しかない三角運航のチャンスを生かせるとも思い、那覇→北大東島→南大東島→那覇の三角運航で見聞きしたことをお伝えできればと思います。

断崖絶壁の「うふあがり島」

 大東諸島には、南大東島、北大東島と沖大東島があります。 沖縄本島の東方約360キロにあるのが南大東島で、この南大東島から約8キロ北に北大東島、そして約150キロ南に沖大東島があります。南大東島は島一周(海岸線)20.8キロ、北大東島の島の周囲は13.52キロで、沖縄県内で最も早い日の出が見られます。大東諸島は、周囲を深さ2000メートルもある海に囲まれていて断崖絶壁の島となっています。

 はるか東にあるという意味の「うふあがり島」と呼ばれています。

 珊瑚環礁が隆起してできた南北大東島では中央部は盆地のようにくぼんで沼や湿地が散在しています。 この盆地の周囲を、屏風(びょうぶ)のように小高い丘が取り囲んでいます。そして、丘の上の木々が防風林として台風などの災害から住民を守っています。
(※参考:南大東島地方気象台HPより抜粋)

大東島特有の霧

 今回の目的の一つは、霧を見ること。大東島は盆地になっていて霧の名所でもあります。今回は那覇から午後便で向かった北大東島に宿泊した翌朝、念願の放射霧を見ることができました。

〈放射霧を見るには?〉
冬の時期によく晴れた風の穏やかな朝がチャンスです。
実際に見た映像をご紹介します。町が霧の中に入っていてとても神秘的でした。

台風で飛ばされた巨大な岩

 2009年10月に大東島地方に直撃した台風18号によって飛ばされた岩(横約4.6メートル、高さ約3.3メートル)が北大東島にあります。当時私が担当していた琉球放送(RBC)の天気コーナーでもお伝えしましたが、実際に目にし、こんな巨大な岩が飛んでしまうのかと改めて台風の恐ろしさを実感しました。

北大東島の台風岩

〈台風接近時の風の観測〉
南大東島の最大瞬間風速 2009年10月6日・・58.9m/s
北大東島の最大瞬間風速 2009年10月7日・・57.1m/s

横から見た台風岩=北大東島
横から見た台風岩=北大東島

 

 ただ、大東島で地上デジタル放送が見られるようになったのは2011年で、それまで大東島では東京都の小笠原村向けの放送を受信しており、台風情報は東京ローカル向けのものでした。

 当時の天気コーナーでは、大東島に行き来する方へ向けた情報でしたが、地上デジタル放送開始後は、天気コーナーでも直接大東島の皆さんへ呼びかけができるようになり、リアルタイムの台風情報をお伝えしています。私自身も、大東島へ接近する台風情報の時間枠を拡大し、台風情報の見せ方を変えるなど工夫をしました。

 沖縄のはるか南東の海上で発生する台風が沖縄に近づいてくるコースを取った場合は、大東島が台風の最前線となります。大東島地方は最初に台風情報をお伝えする地域としても重要な島となっています。

 次週も大東島レポートをお伝えしてまいります。

来週はジメジメした暑さに

 17日(土)の沖縄地方は、朝は雲が広がる所も、次第に高気圧に覆われて晴れる見込みです。この週末は、県内各地で天気の大きな崩れはないでしょう。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※2月16日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※2月16日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 週末は日ごとに気温が上がり、那覇では18日(日)から23日(金)にかけて最高気温は25℃前後の夏日の予想です。4月下旬から5月の大型連休の頃の暑さが控えています。昼間は半袖でも暑いくらいでしょう。湿気たっぷりのジメジメした暑さとなりそうですので、食べ物の管理にもお気を付けください。

那覇の3月3日(日)にかけての天気と気温予想 ※2月16日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 ただ、26日(月)の週は、今度は寒さがやってきます。昼間でも20℃に届かない予想です。この先の気温の変化に注意が必要です。

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

 

 

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