「勝ち方がわからない…」不振にあえぐ男子テニス元世界8位シュワルツマン!「2年で結果が出なかったら引退する」<SMASH>

かつて「全仏オープン」でベスト4に進出し、「ATPツアーファイナルズ」にも出場した元世界8位のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン/現116位)が、キャリアの岐路に立たされている。

主催者推薦で出場した男子テニスツアー「アルゼンチン・オープン」(2月12日~18日/ブエノスアイレス/クレー)のシングルス1回戦で、ダニエル・ガラン(コロンビア/80位)に逆転負けを喫し、今季の勝利は開幕戦「ブリスベン国際」の予選1回戦のみ。昨年10月の「ジャパンオープン」2回戦での勝利を最後に、母国開催の2大会を含めて4カ月以上もツアー本戦での勝利から見放されているのだ。

しかも「全豪オープン」予選1回戦敗退により、2014年の全米から続けてきた四大大会本戦出場が途切れてしまった。1年前は32位だったランキングは、いまや116位に沈んでいる。

長年ツアーを戦ってきた31歳にも解決策がまったく見えないという。

「あらゆることの組み合わせだ。試合中にいろんな問題があり、間違ったプレーをしてしまう。見ての通りだよ。これから数ケ月で解決策を見つけられるかどうか…」

「練習をしたいとか、サーフェス(コートの種類)を変えたいとか、また旅に出たいとか、そういう気持ちで目を覚ますのは難しい。少なくともコート内でもう少し楽しめるよう勝利が見えないと、いつまで耐えられるかわからない」
不振の深刻ぶりが伝わる31歳のコメントで思い出されるのは、2022年の西岡良仁ではないだろうか。シュワルツマンと同じように前年の10月から勝利に見放されていた西岡は、全豪オープンの1回戦で敗退すると「今は試合での勝ち方がわからない。勝てるイメージが一切ない」と語り、「この2年間で結果出なかったらたぶん引退する」とまで言った。

奇しくも、シュワルツマンと西岡は同じ身長170センチ。豊かな発想と多彩なショットセレクトで相手が嫌がるプレーを追求する西岡に対し、シュワルツマンは小さくとも強靭な肉体を生かしたパワフルなプレーが身上だ。テニスのスタイルは異なる2人だが、20センチ以上も大きな相手と渡り合ってきたメンタリティには共通点があるはずだ。

例の発言後の西岡はその後、チャレンジャー(下部大会)も含めてツアーを回って、夏には再浮上を果たし、翌年のキャリアハイ更新につなげた。2年前までトップ20にいた“小さな巨人シュワルツマン”の苦悩は計り知れないが、どこかで浮上のきっかけをつかむのではないだろうか。

構成●スマッシュ編集部

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