ドイツサッカー通が選出!60周年のブンデスリーガ歴代最強イレブン「マテウスを外すわけにはいかない」

1963-64シーズンに始まったブンデスリーガはちょうど60周年。ベッケンバウアー、シュスター、マテウス、カーン、レバンドフスキ…、歴史を彩るスーパースターたちの中から「最高」ではなく、「最強」のベストイレブンを作るとすれば? ドイツでの指導者経験を持ち、ブンデスリーガにも精通する2人の日本人コーチに、攻守のバランスや連携など考慮し、現代でも通用しうる11人を選んでもらった。その第二弾の選者は、育成年代コーチとして活躍する中野吉之伴氏だ。

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破壊力抜群のメンバー構成だ。前線にはシーズン40ゴール超えを達成しているレバンドフスキとG・ミュラーを並べる。ポストワークにも秀でた前者をターゲットにすることで、後者にはその得点嗅覚を惜しみなく発揮してもらう。

2トップがセンターに陣取るメリットを最大限に引き出すために、両翼には単独突破とクロスに長じたロッベンとリベリが最適。ゴリゴリに仕掛けては危険なクロスを何本も送ってもらう。ふたりに伸び伸びとプレーしてもらうため、SBには“気が利くタイプ”が必須。となるとラームとゼ・ロベルトが適任となる。どちらも攻守における1対1の強さ、スペースのカバーセンス、オーバーラップのタイミングとすべてが一級品だ。

クロスを警戒されると2列目からのミドルが必要になる。というわけで歴代きってのキャノンシュートの持ち主、マテウスを外すわけにはいかない。その射程距離は30㍍に及び、シュートを囮にスルーパスやサイドへの展開で揺さぶりもかけられる。相棒にはゲームメークに秀でたシュバインシュタイガーを推したい。ケガをものともしない闘争心を前面に押し出したプレースタイルでチームを引き締めてもらう。

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最終ラインの中央には天性のリベロであるベッケンバウアーと最強ストッパーのコーラーをコンビで起用することで、攻守のバランスを調整。リベロ歴のあるマテウスとベッケンバウアーは試合の流れを見ながらポジションチェンジもできる。最後尾はGKの概念を変えたノイアーで間違いはない。

控えも特徴的な選手を並べた。

守備強化の切り札は90年W杯でマラドーナを完封したブッフバルト。稀代のSBブライトナーは洗練されたドリブルで違いを生み出せる。ザマーはベッケンバウアー、マテウスより守備力があり、オーバーラップのセンスにも秀でる。守備を固められたらアシストの天才T・ミュラーでゴールへの道を創出。ストライカーとしての非凡な才能に加え、歴代最高と称される“人間力”を持つゼーラーは個性派集団を束ねてもらうためにも絶対に欠かせない。

【GK】
マヌエル・ノイアー(バイエルンなど/ドイツ代表)

【DF】
フィリップ・ラーム(バイエルンなど/元ドイツ代表)
フランツ・ベッケンバウアー(バイエルンなど/元西ドイツ代表)
ユルゲン・コーラー(ドルトムントなど/元ドイツ代表)
ゼ・ロベルト(バイエルンなど/元ブラジル代表)

【MF】
バスティアン・シュバインシュタイガー(バイエルン/ドイツ代表)
ローター・マテウス(バイエルンなど/元ドイツ代表)
アリエン・ロッベン(バイエルン/元オランダ代表)
フランク・リベリ(バイエルン/元フランス代表)

【FW】
ゲルト・ミュラー(バイエルン/元西ドイツ代表)
ロベルト・レバンドフスキ(バイエルンなど/ポーランド代表)

【バックアッパー】
DF ギド・ブッフバルト(シュツットガルト/元ドイツ代表)
DF パウル・ブライトナー(バイエルンなど/元西ドイツ代表)
DF マティアス・ザマー(ドルトムントなど/元ドイツ代表)
FW トーマス・ミュラー(バイエルン/ドイツ代表)
FW ウーベ・ゼーラー(ハンブルク/元西ドイツ代表)

■中野吉之伴(SVホッホドルフU-19・U-13監督)
1977年、秋田県生まれ。フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンスを取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はSVホッホドルフのU-19とU-13で監督を務める。ブンデスリーガや育成指導に関する情報を発信するジャーナリストとしても活躍中だ。

※ワールドサッカーダイジェスト1月18日号より加筆・修正

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