印象派ファン待望の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が東京都美術館で開催中!

­こんにちは。フリーキュレーターのSEIJIです。躍動するアートの世界を展覧会やニュースに注目したコラムでお届けする「今どきのアート」。今回、気になったのがこの展覧会です。

印象派ファン待望の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が東京都美術館で開催中!

ポール・シニャック《ゴルフ・ジュアン》1896年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Gift from the Chapin and Mary Alexander Riley Collection, 1964.27/Image courtesy of the Worcester Art Museum

印象派の展覧会は、日本では大変人気ですね!特にモネやルノワールは日本人には親和性の高い画家ではないでしょうか。

150年の節目を迎えた印象派の展覧会

そんな印象派ファンが必見なのが東京都美術館で開催されている展覧会。今年は、第1回印象派展が開催されてから150周年の節目を迎える年だそうで、展覧会の内容も印象派がヨーロッパやアメリカにもたらした衝撃や影響をたどるという興味津々の内容になっています。

アートのエポックメイキングの時期といえる19世紀後半、アートの世界的な中心地となったフランス・パリには国内外から多くの画家がそのパワーに吸引されるように集ってきました。そのパリで印象派の表現に触発された画家たちは、新しい絵画の表現手法を自ら国へと持ち帰っていったのです。

チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》1888年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Theodore T. and Mary G. Ellis Collection, 1940.87/Image courtesy of the Worcester Art Museum

本展覧会では、それまでの写実主義的な風潮が強かった西洋美術の伝統を覆した印象派の革新性とその広がり、なかでもアメリカ各地で展開した印象派のいろいろな姿に注目した観て学べる展示の工夫がされています。

ほとんどが初来日のウスター美術館所蔵コレクション!

アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館は、1898年の開館当初から印象派の作品を積極的に収集してきました。1910年にはモネの《睡蓮》を美術館として世界で初めて購入したのも同館なのです。

クロード・モネ《睡蓮》1908年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Museum Purchase, 1910.26/Image courtesy of the Worcester Art Museum

マサチューセッツ州第2の都市ウスターで1898年に開館した同館の所蔵作品は、古代エジプト、古代ギリシャ・ローマの美術から、ヨーロッパやアメリカの絵画・彫刻、世界各地の現代美術まで、およそ40,000点のコレクションを誇っています。

2013年には約2,000点の武具武器から成るジョン・ウッドマン・ヒギンズ・コレクションが加わり、幅広いコレクションを活かした展覧会やさまざまな教育プログラムを実施。多様な来館者にアートに触れる機会を提供しつづけているのです。

今回の展覧会では、ほとんどが初来日となる同館の印象派コレクションを中心に、日本でもよく知られる画家たちの作品が百花繚乱のような高貴なにぎやかさを演出しています。

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-16年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Museum Purchase, 1916.57/Image courtesy of the Worcester Art Museum

名だたる画家たちの作品が心まで魅了する!

本展では、ウスター美術館のコレクションを中心に、モネやルノワールなどのフランス印象派やアメリカ印象派を代表するハッサムなどの油彩画約70点を展示。

さらにクールベ、コロー、シスレー、ピサロ、カサット、サージェント、ホーマー、セザンヌ、シニャックら40人以上の画家の作品が集結した絢爛豪華な展示となっています。

海を越えて広がり、新天地で開花したアメリカ印象派!

フランスで生まれた印象派は、海を越えて広がり、アメリカ各地で独自に展開していきました。ニューイングランドの田園風景や西部の自然の驚異など、アメリカらしい主題にも応用されていったその技法は、印象派の新しい一面を魅せてくれることでしょう!

フランク・ウェストン・ベンソン《ナタリー》1917年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Gift of Desmond Callan, Mary H. Bailey, and Cristina E. Callan, 1996.106/Image courtesy of the Worcester Art Museum

This exhibition was organized by the Worcester Art Museum

学芸員からのひと言

「パリで生まれた印象派の衝撃は世界中へ広がりました。なかでも本展のみどころとなるのはアメリカ印象派の作品群です。「アメリカのモネ」と称されたチャイルド・ハッサムや、ニューイングランドの穏やかで美しい自然を描きつづけたジョゼフ・H・グリーンウッドなど、アメリカ印象派ならではの魅力に触れていただく貴重な機会です」(東京都美術館学芸員 大橋菜都子)。

印象派の作品が放つ温かな雰囲気が、季節より早く「春」を感じさせてくれるようです。初公開の作品を、ぜひ、実際に観に行ってみては!

会期は 2024年4月7日(日)まで。展覧会の詳細は下記のURLからご確認ください。

展覧会公式サイト

https://worcester2024.jp

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