「社会のために尽くしましょうと教えるのになぜ教育勅語か」 広島市長による職員研修で教育勅語の引用中止を要請 ジャーナリスト会議広島支部など

広島市の職員研修で、教育勅語の一部が引用されていることについて、元教職員などでつくる団体が、引用を中止することを要請しました。

今年度の課長級に対する公務員研修の映像で、松井市長はこう語っています。

広島市 松井一実市長(新任課長研修動画より)
「戦後直後 『教育勅語というのは、日本が戦争体制に持ち込むときに用いられた』、だから文部行政からこういったものをなくせ、という風に言われたので…」

この映像を広島市に情報公開請求したのは、元教員らでつくる「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」と報道関係者などでつくる「日本ジャーナリスト会議広島支部」です。

団体は、「国家のために身を捧げよ」という目的がある教育勅語は、現在の憲法と相いれず、憲法を尊重する義務がある公務員の市長が、公務員の研修で使うことは誤りだとして、松井市長に引用をやめるよう求めています。

広島市 松井一実市長(新任課長研修動画より)
「ただこの教育勅語の英訳を見るとですね、なんと、いわば民主主義の素晴らしいことを書いてある文書」

また、団体は、市長が「民主主義の先端」と絶賛する部分は、勅語のどこにあたるのかなどを回答するよう要請しました。

日本ジャーナリスト会議広島支部 藤元康之さん
「これこそ、一番民主主義を知っておられない、民主主義、法治主義をご自分が理解されていない気がしてならない。そこが怖い」

日本ジャーナリスト会議広島支部 井上俊逸さん
「兄弟仲良くとか、社会のために尽くしましょうとか、それを教えるのに、なぜ教育勅語を持ち出す必要があるのか」

団体の要請は、去年12月に続いて2回目です。広島市によりますと、これまでに市民からの意見は賛同も含めておよそ100件ほど寄せられているということですが、来年度の研修資料について、今のところ変更の方針はないとしています。

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