平均「手取り30万円」だが…「給料の天引きがとまらない」日本人のつらい事態

(※写真はイメージです/PIXTA)

「給与は増えた。だけど手取りが少なすぎる」。明細を見てガッカリした経験はありますか。働いても働いてもお金が増えない背景には、「社会保険料の増加」が関係しているかもしれません。総務省『家計調査』を見ていくと……。

働けど働けど増えないお金…背景にあるのは

国税庁『令和4年分民間給与実態統計調査結果』によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円です。月の収入では38万円ほどになります。前年の収入によって多少の差はあるものの、手取りはざっと30万円ほどです。

「給与38万円っていってもそんなに引かれちゃうの!?」

と思った方もいれば、「悲しいけど慣れた」という方もいるかもしれません。給与については、前年度の給与をもとに税金や社会保険料などが引かれますから、日々の生活では額面よりも「手取り」が最も重要になります。

その手取りがいつまでたっても増えない現実。社会保険料をはじめとした非消費支出の増加が関係していることは間違いないでしょう。

“年収が1000万円あっても、手取りは600~700万円にまで減ってしまいます。給料が上がったとしても、税金や社会保険料の負担が重たいために、手取り額はほとんど増えません。実際にこの十数年間、年金や保険料の負担額は上がり続けています。”(竹田真基『9割の日本人が知らない「資産形成」成功の法則』幻冬舎MC・2019年6月)

実際のところ社会保険料、じわじわと負担が増え続けています。

総務省『家計調査 2023年(令和5年)平均』によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の非消費支出額は「11万3,514円/月」。2018年のデータを見てみると、「10万3,593円」となっています。5年間でおよそ1万円上昇していることがわかります。

さらに2003年のデータを見ると、「8万4,081円」。20年間でおよそ3万円の上昇です。

そもそも社会保険料とは、公的年金保険料、健康保険料、介護保険料などを総合したものです。将来の年金のため、万が一健康を損なったときのため……と払わないわけにはいかない支出ではあるものの、毎月11.3万円はかなりの負担といえましょう。

また、「一昔前はこんな安かったんだ」と感じた方もいるかもしれません。

ちなみに家計調査より作成された内閣府の資料によると、直接税・社会保険料等がもっとも多いのは45~54歳。実収入のおよそ20%にあたる金額が引かれています。

サラリーマンの悲鳴「稼げば稼ぐほど負担増す」所得税

社会保険料もさることながら、「所得税」に頭を抱える人も少なくないでしょう。日本は累進課税ですから、稼げば稼ぐほど税率も高くなってしまいます。

【所得税の税率<国税庁>】

1,000円~194万9,000円・・・税率5%(控除額:0円)

195万円~329万9,000円・・・税率10%(控除額:9万7,500円)

330万円~694万9,000円・・・税率20%(控除額:42万7,500円)

695万円~899万9,000円・・・税率23%(控除額:63万6,000円)

900万円~1,799万9,000円・・・税率33%(控除額:153万6,000円)

1,800万円~3,999万9,000円・・・税率40%(控除額:279万6,000円)

4,000万円以上・・・税率45%(控除額:479万6,000円)

税金、社会保険料。所得税に関しては、iDeCo(イデコ)やふるさと納税などを活用して税金を抑えることもできますが、お金を稼ぐ以上、どう頑張っても避けては通れない道です。そして少子高齢化が進む今、社会保険料が減少に転じるとは考えにくいものです。むしろこのままじわじわと増加していくことは目に見えています。

減っていく手取りを前に、なすすべはないのか。日本で働き続けることの残酷な現実が露わになっています。

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