『Re:リベンジ-欲望の果てに-』は赤楚衛二の新境地となる? クレバーな一面への期待

4月11日にスタートするフジテレビ系の連続ドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』の主演を赤楚衛二が務めることが発表された。赤楚がフジテレビ系の連続ドラマの主演を務めるのは本作が初めてとなる。

本作は、巨大病院で巻き起こる権力争いをきっかけに、さまざまな事件が起こり、登場人物たちの“野心”と“復讐心”が入り乱れ、人間の内に秘めた“欲望”がむき出しになっていくリベンジサスペンス。赤楚が演じるのは、日本屈指の巨大病院「天堂記念病院」の理事長の息子・天堂海斗。海斗は父親との仲たがいをきっかけに、医師にはならず、出版社で週刊誌の記者として働いていた。だが、父がある事件に巻き込まれたことをきっかけに、海斗は過去に父と交わした大切な約束を思い出す。そして海斗は父が築き上げてきた大切なモノを取り返すため、愛する人を守るため、巨大病院の権力争いと闘うことを決意する。

最近では、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)、『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)などに出演していた赤楚。彼がよく演じているのは、気弱で優しい性格の青年だ。赤楚の出世作にもなった『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)では童貞のまま30歳を迎えたことで「触れた人の心が読める魔法」を使えるようになった安達を演じており、彼がふと触れた社内一のイケメン同期・黒沢(町田啓太)はなんと自分への熱い恋心を内に秘めていた。

普通なら、初めて聞くに等しい自分への愛の言葉や同性からの好意に対して戸惑い、距離を取ってもおかしくない状況なのだが、安達は黒沢の気持ちにしっかり向き合おうとする。そして、たくさんのことを経験しながら次第に自分の意思を明確にして前に進み、黒沢との仲を深めていく。赤楚はこのような「ちょっと頼りない青年の成長ストーリー」を得意としているのだ。

2022年度後期の朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)では、そんな成長した青年が最終的にはヒロイン・舞(福原遥)の夫に。仕事や子育てに奮闘しつつ、悩む舞を優しく包み込み、背中を押す言葉をかけるようになる。

しかし今回、本作で演じる海斗は父に反発して親とは別の職業につくような気の強さを最初から持っている。また、外野の海斗が権力争いに勝ち抜いていくためには正攻法だけではうまくいかないだろう。時には相手を出し抜いていくことも必要だ。そのため海斗は、これまで赤楚が演じてきたものとは異なるダークな雰囲気とクレバーさがあるキャラクターとなっている可能性がある。

さらに、役柄に沿ってビジュアルや立ち振る舞いを変えることをいとわないのが赤楚の特徴である。7月26日に公開予定の映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』で赤楚は坂本龍馬を演じているが、その役に合わせて顎ヒゲを蓄えた姿を見せている。

『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)では主人公の桐生戦兎(犬飼貴丈)が物理学者で黒髪であるのに対して、赤楚が演じたもう1人の中心人物・万丈龍我はプロの格闘家で茶髪であった。性格も見た目も正反対の2人が次第にいいコンビとなっていくのがこの作品の見どころの一つとなったのだが、赤楚は当初、見た目が犬飼と似通っていたそう。そのため、髪を染め、筋肉を付けるなどして犬飼と外見を差別化してから撮影に臨んだという(※1)。

また、戦兎との違いとして「熱くてバカっぽいところ」を出すため、意識して巻き舌にしたり、画面で見切れているときにも頭を掻くなど細かい芝居をしたことを明かしている(※2)。それほど、赤楚は演じる人物のビジュアルや仕草を大切にする俳優なのである。

本作で演じる海斗について、赤楚は「海斗の変化に合わせて、まずは体型やビジュアル的なところを意識して変えていこうと思っています」とすでに明言している。ここにきっと赤楚の“本気”が見えるはずだ。どう変わっていくのかが今からとても楽しみである。

これまで映画やドラマに出演する度に、演技の幅を広げ、新しい一面を見せてきた赤楚。その中でも本作で演じる海斗は新たな挑戦となる役柄となるのではないだろうか。果たして、今度はどんな顔を見せてくれるのか、期待して放送を待ちたい。

参照
※1. 『宇宙船』vol.158(AUTUMN 2017.秋)ホビージャパン 2017年9月30日
※2. 『OFFICIAL PERFECT BOOK BUILD BEST MATCH CREATION [仮面ライダービルド 公式完全読本]』ホビージャパン〈公式完全読本シリーズ〉 2018年12月25日

(文=久保田ひかる)

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