群雄割拠のバンタム級戦線、井上拓真が初防衛目指すも中谷潤人の参戦で風雲急?

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24日、両国国技館でWBA&WBCバンタム級王座戦

プロボクシングの世界バンタム級タイトルマッチ2試合が2月24日、両国国技館で行われる。

WBAバンタム級王者・井上拓真(28=大橋)は同級9位ジェルウィン・アンカハス(32=フィリピン)を迎え撃つ初防衛戦。一方、3階級制覇を狙うWBCバンタム級1位・中谷潤人(26=M.T)は同級王者アレハンドロ・サンティアゴ(28=メキシコ)に挑む。

4団体統一した井上尚弥(30=大橋)がスーパーバンタム級に転向して4本のベルトを返上。主役が不在となったバンタム級は群雄割拠の様相を呈しているが、中谷の参戦でその勢力図が塗り替わる可能性がある。

言わずと知れた井上尚弥の弟・拓真は元WBCバンタム級暫定王者。2019年11月にノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に判定負けして無冠となり、その後は東洋太平洋バンタム級王座やWBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王座を奪うなど着実に地力を強化してきた。

2023年4月にようやく世界再挑戦のチャンスをつかみ、リボリオ・ソリス(ベネズエラ)に判定勝ちしてWBAの黒いベルトを奪取。10か月ぶりのリングでIBFスーパーフライ級王座を9度防衛した強敵を迎えることになった。

ここまで18勝(4KO)1敗とパワーはないものの、ディフェンス技術は一級品。アンカハス戦もハイレベルな技術戦となるだろう。

中谷潤人が勝てば無敗で3階級制覇

井上拓真以上に期待されるのが中谷潤人だ。2020年11月に無敗のままWBOフライ級王座を獲得すると、2度防衛後に返上。2023年5月にはラスベガスでアンドリュー・モロニー(オーストラリア)に12回KO勝ちし、WBOスーパーフライ級王座も奪って2階級制覇を果たした。9月の初防衛後に王座返上し、3階級制覇に挑む。

ここまで26戦全勝(19KO)のパーフェクトレコード。軽量級にしては高い173センチの長身で、サウスポーから繰り出すパンチは左右とも破壊力十分だ。

迎え撃つ王者サンティアゴも、井上尚弥と2度の死闘を繰り広げたノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちしてベルトを巻いたメキシカン。一筋縄ではいかないだろうが、身長159センチと中谷とは体格差があることから、挑戦者が無敗で3階級制覇を達成する期待が膨らんでいる。

高まる統一戦への期待

気が早いが、井上拓真と中谷潤人がともに勝った場合、その後の展開が注目される。現在、バンタム級のIBF王者はエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、WBO王者はジェイソン・モロニー(オーストラリア)。いずれも井上尚弥に倒された相手が再起してベルトを巻いている。

日本のファンに馴染み深く、力量も分かるだけに統一戦という声が挙がってもおかしくない。4人のどの組み合わせでも魅力的なカードになる。

中でも最大の期待は中谷だろう。井上尚弥の後を追うように複数団体の王座を統一しても何ら不思議ではない。さらにスーパーバンタム級に上げて井上尚弥への挑戦が実現すれば最高に盛り上がるはずだ。

中谷の異名は「ネクストモンスター」。“本家モンスター”井上尚弥に続くバンタム級戦線の主役となるか、まずは24日の一戦に注目だ。



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