女子レスリングでパリオリンピック代表に内定している藤波朱理選手。日頃の練習拠点を離れ、ある場所に出稽古に赴きました。異例の練習を密着取材しました。
(大石邦彦アナウンサー)
「至学館大学にやってまいりました。こちらにパリオリンピック女子レスリングで金メダルを目指す藤波朱理選手が、出稽古に来るそうなんですよ。きょう初日だそうです。なぜなんですかね」
大石アナがやってきたのは、愛知県大府市の至学館大学。オリンピック3大会連続で金メダルを獲得した吉田沙保里さんをはじめ、数多くのメダリストを輩出したいわずと知れたレスリングの強豪校です。
今回、この強豪校に出稽古に訪れたのが、ことし開催されるパリオリンピックで女子レスリング53キロ級の代表内定を決めている三重県四日市市出身の藤波朱理選手。現在は日本体育大学に所属していますが、一体なぜ、異例中の異例といわれる他大学への出稽古に訪れたのでしょうか。
(藤波選手の父・俊一さん)
「いよいよパリオリンピックに向けての始動という事で、胸を借りに来ました」
(大石アナ)
「至学館大学に来るのは何回目ですか?」
(藤波朱理選手)
「大学になってからは初めてです」
この出稽古を快く受け入れたのが、至学館大学の谷岡郁子学長。
受け入れた理由は「ファンなので」
(大石アナ)
「ライバル校だから、こういうことはなかなかないと思うんですが」
(谷岡学長)
「私、単純に朱理ちゃんのファンなので。(吉田)沙保里の後には、もうあんなレスリングは見せてもらえることはないと思っていたんですけど、朱理ちゃんのレスリングを見て、沙保里の後は朱理ちゃんがいたんだなと今思っています」
藤波選手に惚れ込んでいるという谷岡学長。早くも引退後の進路まで考えているようで…。
(谷岡学長)
「引退して指導者になるっていうなら、すぐうちのレスリング部の監督に(笑)」
(大石アナ)
「今の撮れました?」
名門・至学館大学のマットに登場した藤波選手ですが、ここでの練習は想像以上にハード!
藤波選手にも疲れが見られます。
無敗を誇る藤波選手ですが、至学館大学の強豪選手を相手にすると、簡単にバックを取られてしまうことも。
(大石アナ)
「藤波選手がバックを取られるというのは、なかなか見ないですが」
(藤波選手の父・俊一さん)
「ここはレベルの高い選手が多いから。ここに出稽古に来ているのは、それが理由ですね」
出稽古でレベルアップを図る藤波選手。この場所ならではの相手にアドバイスを求めます。
藤波選手がアドバイスを求めた相手は…
吉田沙保里選手をはじめとする多くの金メダリストを育て上げた、栄和人監督。
藤波選手に期待を寄せる栄監督。指導にも熱が入ります。
そんな栄監督に、こんな質問をぶつけてみました。
(大石アナ)
「ことしのパリオリンピックには、女子レスリングが五輪種目になった2004年から初めて至学館勢力がオリンピックに出ないオリンピックになります」
(栄監督)
「6年前のパワハラ問題があって、至学館大学は行かない方がいいとか、そういうことを耳にしていた。立て直すというか、やっぱり至学館大学は強いと見せられる時期が来ると思います」
その思いは選手たちにも伝わっていました。
(永本聖菜選手)
「至学館大学が低迷中というか、オリンピック選手を出せてない状況で、オリンピック選手が来てくれるっていうのは本当にありがたいですし、本当にいい練習ができる」
切磋琢磨し合う中で、初日の練習を終えた藤波選手。
(藤波朱理選手)
「(至学館大学は)多くの五輪チャンピオンや世界チャンピオンを輩出してきた空間なので、ある意味パワースポットみたいな空気を感じまっす」
藤波選手はそんなパワースポットで、2週間みっちり練習に励みます。
(藤波朱理選手)
「オリンピックまではあと半年ということで、まだまだ自分のレスリングを高めていきたいと思いますし、いいパフォーマンスをオリンピックできるように、自分のレスリングを成長させたい」