増加している治療『人工透析』 血糖コントロールで、生活スタイルが激変する前に対策を!【かけこみクリニック・テレビ派】

日本人で今、増えている病気の治療、それは『人工透析』です。年々増加し、2021年にはピークとなり、およそ35万人になりました。原因は、糖尿病患者や高齢者の動脈硬化の患者数が増えたことです。透析患者のおよそ4割が、2型糖尿病によるものです。今回は人工透析と糖尿病の関係について、心療内科医の長井敏弘先生に聞きます。

『人工透析』の治療が必要な病気

『人工透析』の治療と聞いて、一番に思い浮かぶ病気が「糖尿病」です。では、どんな病気なのでしょうか。私たちが食べたものは糖となり、すい臓で作られたインスリンが、糖を細胞の中に取り込むために誘導します。ところが、暴飲暴食によって糖が血管内に増えると、インスリンが誘導できないような糖が、血管内・血液内に溜まり、いわゆるドロドロ血液になってしまうということです。インスリンが元々すい臓であまり作られないのが1型糖尿病で、糖が増えすぎてインスリンの働きが低下するのが2型糖尿病です。男性は5人に1人、女性では10人に1人が糖尿病患者と言われています。

糖尿病が深刻化すると、重大な3つの合併症を引き起こす恐れがあります。1つ目は、糖尿病性網膜症です。眼底の血管は非常に細いので、出血して失明の恐れがあります。2つ目は、糖尿病性神経障害です。糖尿病による足の神経障害で、何かに感染しても気づくことができず、最終的には足を切断する恐れがあります。最後は、糖尿病性腎症です。糖が固まることで、腎臓が機能しなくなり、人工透析になる恐れがあるということです。

『人工透析』とは?

人工透析とは、本来血液をろ過している腎臓の代わりに、機械で血液をろ過する治療です。腎臓は、背中の後ろに空豆の形をしており、老廃物を含んだ体の汚い血液がに入ると、きれいな血液にして、体に送り返します。そして、尿として老廃物を出します。ところが、汚い血液に糖がたくさん含まれると、腎臓が疲れてしまいます。きれいな血液にするにしても、老廃物の排出が大変です。

人工透析の治療をする1番の原因としてあげられるのが、糖尿病の合併症によって、腎臓の機能が落ちてしまうことです。1番多いのは、糖尿病性の腎症、いわゆる糖尿病から腎炎です。また、腎臓自体に腎炎に問題があるということです。糖尿病が1番原因としては多く、合併症が原因で人工透析につがることもあります。

さらに詳しく、土谷総合病院副院長の川西秀樹先生に話を聞きました。

Q.『透析』とは、どのような治療ですか?

■土谷総合病院副院長 川西秀樹先生

「腎臓の機能が無くなっていくと、尿毒素、いわゆる毒素が溜まります。それと、尿が出なくなるので体液が溜まります。その毒素と体液、溜まったお水を除去する。これが透析治療です。」

透析治療は、全身の血液を機械でろ過し、きれいな血液にして体に戻す治療のことで、かなり大変な治療です。

■土谷総合病院副院長 川西秀樹先生

「血液透析は、基本的に週3回4時間が基本なんですけれども、通院の時間も合わせて、6時間から7時間程度は時間を費やしてしまう。それが生活に影響を与えます。」

長時間の治療に、月に1~2万円の費用…透析治療は、時間と金銭面で生活に大きな影響を与えます。

糖尿病と診断された方が、腎臓の機能を守るために気をつけるべきことも聞きました。

■土谷総合病院副院長 川西秀樹先生

「血糖コントロールをされる、それに尽きると思います。きちっとした血糖コントロールができない場合は、急速に腎症・腎不全が進行してきます。糖尿病の方はご自身の管理、これが最も重要だと思います。」

大事なのは『血糖コントロール』

1週間の半分ぐらいが治療にかかることになり、生活スタイルが大きく変化します。糖尿病患者は、血糖コントロール、つまり血糖値を適切な範囲の中で維持していくことが重要です。血糖コントロールとは、3大合併症含めて人工透析にならないために、ヘモグロビンA1c(HbA1c)という大体過去1~2ヶ月の血糖値の平均を、7.0未満になるように自分で管理することをいいます。この管理をすることで、人工透析治療を避けることが可能だそうです。

正常値をを目指すために普段の生活で気を付けることで、1番大事なのは『食事』です。腹八分目など自分の血糖値を考えて、バランスの良い食事を心掛けましょう。2番目は『運動』です。運動をして消費しましょう。3番目は、血糖値の高い方は、病院で処方された薬を医者に言われた通り服用することです。人工透析治療は、腎臓の病気を持つ患者にとって、命を支えるための大切な生活の一部です。川西先生は「定期的な検診を受けてほしい」と、話していました。

【テレビ派 2024年2月7日放送】

© 広島テレビ放送株式会社