NY市場サマリー(16日)ドル伸び悩み、株下落 早期利下げ観測後退で

<為替> 予想を上回る米卸売物価指数(PPI)を受け米早期利下げ期待が後退したものの、米経済の力強さが懸念され、ドルが伸び悩んだ。

ドル指数は0.01%高の104.26。週間では約0.12%高と5週連続で上昇する見込み。

1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)で0.3%上昇となった。伸び率はロイターがまとめた市場予想の0.1%を上回り、2023年8月以来5カ月ぶりの大きさとなった。

ただ、15日発表の1月小売売上高(季節調整済み)は前月比0.8%減と、個人消費の勢いが失速している兆候を示唆した。

CIBCキャピタル・マーケッツ(トロント)の北米外為戦略責任者、ビパン・ライ氏は「外為市場は、米経済の実質的な活動に関して、まだ若干の疑問符が残っているという事実に注目する傾向がある」と指摘。ドルの上げ幅縮小は「やや奇妙な反応」とし、米国の3連休を控えたポジション調整だった可能性があるとした。

来週19日はプレジデンツ・デーで米市場は休場となる。

CMEのフェドウオッチによると、3月の利下げ確率は10.5%、5月の利下げ確率は33.7%。年初は3月の利下げ確率は79%だった。

マネーコープの北米ストラクチャード商品部門責任者、ユージン・エプスタイン氏は、米労働市場の強さ、予想を上回る経済成長、インフレ統計はドルが現状よりも上昇する可能性があることを示していると言及。「ドルは横ばいか、ゆっくりと上昇するシナリオの可能性が高いとみている」とした。

ユーロ/ドルは0.04%高の1.0775ドル。円は0.22%安の1ドル=150.23円となった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが上昇した。1月の卸売物価指数が予想以上に上昇し、連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期の予想が後ずれした。

労働省がこの日に発表した1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)で0.3%上昇。伸び率は市場予想の0.1%を上回り、2023年8月以来5カ月ぶりの大きさとなった。

13日に発表された1月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.1%上昇。伸びは前月からは鈍化したものの、市場予想の2.9%を上回った。

こうした中、市場では利下げ時期の予想が後ずれし、CMEフェドウオッチによると、6月に少なくとも0.25%ポイントの利下げが実施される確率は72.7%と、前日の81.6%から低下した。

FRB当局者の間では、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁がインフレ率は「目覚ましい」進展を見せているものの、安定した物価を確保するためには「まだやるべきことがある」述べたほか、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、インフレ圧力が実際に低下していると納得するには一段のデータが必要になると指摘。共に利下げを決定するまで忍耐強く待つ用意があると示唆した。

10年債利回りは5.3ベーシスポイント(bp)上昇の4.293%。一時は4.33%まで上げた。

30年債利回りは2.7bp上昇の4.4482%。

2年債利回りは8.6bp上昇の4.6544%。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス36.74bp。前日はマイナス34.63bpだった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 下落して取引を終えた。予想を上回る米卸売物価指数(PPI)を受け、連邦準備理事会(FRB)による早期利下げへの期待が後退した。主要3株価指数の中ではナスダック総合が最も下げた。

米労働省が16日発表した1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)で0.3%上昇となった。伸び率はロイターがまとめた市場予想の0.1%を上回り、2023年8月以来5カ月ぶりの大きさとなった。

主要3指数は週間で6週間ぶりの下げとなった。

BMOファミリーオフィスの最高投資責任者(CIO)キャロル・シュライフ氏は「今週のインフレ統計を受け、FRBは少なくとも夏季までは政策金利を据え置く」と述べた。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁は16日、インフレ圧力が実際に低下していると納得するには一段のデータが必要になると述べると同時に、向こう数カ月のある時点での利下げ実施を排除しない姿勢を示した。

また、 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は16日、米国のインフレ率は「目覚ましい」進展を見せているが、安定した物価を確保するためには「まだやるべきことがある」とし、利下げのタイミングではないことを示唆した。

大半の大型株が下落。メタ・プラットフォームズが2.2%値下がりし、S&P通信サービスは1.56%安となった。

S&P総合500種が終値で5000の大台を上回ったは今年4回目となった。

個別銘柄では、半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズは6.4%上昇。第2・四半期(2─4月)の売上高が65億ドル(プラスマイナス4億ドル)になるとの見通しを示した。人工知能(AI)向け半導体の強い需要やパソコン(PC)市場の回復を背景に市場予想を上回った。

建材サプライヤーのバルカン・マテリアルズも5.2%高。通期増益見通しを受けた。S&P素材の上昇を支援した。

動画配信機器のロク(Roku)は23.8%急落。第1・四半期の赤字見通しが嫌気された。

暗号資産(仮想通貨)交換所大手の米コインベース・グローバルは8.8%上昇。15日発表した2023年第4・四半期決算は、純損益が前年同期の5億5700万ドルの赤字から、2億7340万ドルの黒字に転じた。四半期ベースの黒字は21年以来。

料理宅配アプリのドアダッシュは8.1%下げた。人件費の上昇により四半期利益率が予想を下回るとの見通しを示した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.7対1の比率で上回った。ナスダックでは1.6対1で値下がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は111億8000万株。直近20営業日の平均は116億5000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米国の3連休を前に持ち高調整の買い戻しが優勢となり、続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比9.20ドル(0.46%)高の1オンス=2024.10ドル。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 中東情勢を巡る地政学リスクの高まりを背景に買い進まれ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値(終値に相当)は前日比1.16ドル(1.49%)高の1バレル=79.19ドル。前日に続き、中心限月の清算値ベースで昨年11月上旬以来約3カ月ぶりの高値を付けた。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 150.21/150.24

始値 150.17

高値 150.64

安値 150.09

ユーロ/ドル NY終値 1.0774/1.0778

始値 1.0775

高値 1.0787

安値 1.0733

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*29.50 4.4366%

前営業日終値 97*05.50 4.4210%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*23.50 4.2811%

前営業日終値 98*02.00 4.2400%

5年債(指標銘柄) 17時05分 98*25.00 4.2756%

前営業日終値 99*01.25 4.2170%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*08.75 4.6437%

前営業日終値 99*13.13 4.5680%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 38627.99 -145.13 -0.37

前営業日終値 38773.12

ナスダック総合 15775.65 -130.52 -0.82

前営業日終値 15906.17

S&P総合500種 5005.57 -24.16 -0.48

前営業日終値 5029.73

COMEX金 4月限 2024.1 +9.2

前営業日終値 2014.9

COMEX銀 3月限 2347.5 +52.4

前営業日終値 2295.1

北海ブレント 4月限 83.47 +0.61

前営業日終値 82.86

米WTI先物 3月限 79.19 +1.16

前営業日終値 78.03

CRB商品指数 272.5895 +1.3062

前営業日終値 271.2833

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