株価下落を嘆く中国のネット民、在中米国大使館のアカウントに不満ぶちまける―米誌

中国経済の苦境や株価下落を嘆くネット民から、全く関係のない在中米国大使館のアカウントに不満をぶちまけるコメントが殺到している、と米誌「ニューズウィーク」が報じた。世界2位の経済大国である中国が直面している「逆風」の一つが、過去3年間で6.3兆ドル(約940兆円)が失われた株式時価総額だ。

ニューズウィークによると、米国大使館は2月2日夜、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」にアフリカ・ナミビアの「キリン保護基金」と米スミソニアン保全生物学研究所などが提携してGPSデータを使いキリンの動きを監視するなどのキリンの保護活動に関して投稿した。

すると、そこになぜか中国の一部ネット民が中国政府の株式対策に対する不満をぶつけた。5日朝までに16万6000件のコメントが寄せられ、71万9000件の「いいね」がつき、1万8000回シェアされた。

ある微博ユーザーは「中国政府に対する2億人の中国人の怒りはピークに達している」と指摘した。2億人とは中国の個人投資家の概数だ。別のユーザーは「これまでの歴史が国に打撃をもたらしている。中国では30年以上にわたって空売りが行われてきた」と書き込んだ。ニューヨークのナスダック市場にも言及し、「今からナスダックに行っても手遅れだろうか」と米国の株高をうらやましがる人もいた。

冗談めかして米国に支援を求める書き込みも。米国大使館に「(中国の)株式市場をなんとかしてくれませんか?」と尋ね、別の人物は「外交手段を使って(中国株を)引き受けてほしい」と要請。「世界の警察なら私たちを助けて」という声もあった。

また別の人物は「大量のA株難民が米大使館の微博で泣き言を言っている」と述べた。A株は中国本土に本社を構え、深セン証券取引所および上海証券取引所に上場している中国企業の株式のうち、人民元建てで取引されている銘柄だ。別のアカウントは「中国万歳。米中の友情にもキリンにも万歳」と投稿した。

中国のインターネットは外界からほぼ遮断されており、常に国が検閲している。2023年12月には中国経済の現状についてコメントしたネット民に対して、同様のことを繰り返さないよう微博がダイレクトメッセージで警告した、と報じられた。

今回についてはブロックされたという証言はないが、中国のソーシャルメディアのトレンドを頻繁に取り上げているX(旧ツイッター)のアカウントは「投資家が在中米国大使館の微博のコメント欄に殺到した理由の一つは、CSRC(中国証券監督管理委員会)や関連アカウントのコメント欄に書き込みができなかったからだ」との見方を示した。(編集/日向)

© 株式会社 Record China