キャッシュレス化が進み、お金との触れ合い方も従来とは変わってきた昨今。現金であろうと、クレジットカートであろうと、「浪費を防ぐために大切なことは『管理能力』」と作家の有川真由美さんは言います。有川氏の著書『お金の不安がなくなる小さな習慣』より、お金と上手に付き合うために、支出の場面で身に付けておくと役立つ「習慣」について見ていきましょう。
1日1回、お財布をすっきりと整理する
お財布のなかをきれいに整理するのは、お金を大事にするために必須の習慣といっていいでしょう。
お財布がレシートやクレジットカード、ポイントカード、割引券、会員証などでパンパンに膨らんでいる状態だと、ごちゃごちゃしたなかにお金が埋もれて、いくら入っているのかすぐに把握することができません。
お金に縁がある人のお財布は例外なく、すっきり片づいています。
お札の向きが同じで、コインもざっくり分けて入れているので、いくら入っているか一目瞭然。カードもたくさんもたずに1、2枚に集約。ポイントカードや会員証も、頻繁に使うものだけに限っています。
滅多に使わないカードを多くもっても、期限が過ぎていたり、出すのを忘れたりと管理ができず、有効に活用できないでしょう。
お財布をすっきり“見える化”することで、お金の出入りに意識が向き、自然に浪費を防げるのです。また、お財布がスリムなだけで、支払いもスマートな印象になり、店員さんやまわりへの印象もいいはずです。
お財布のきれいさをキープするためには、買い物でお財布を出すたびに整理する、帰宅してバッグの中身を出すときに整理するなど、“どんなとき”にやるかを決めましょう。たった1分もかからない習慣で、頭も整理されて、心の余裕も生まれます。
財布は「お金の家」という言い方をする人もいます。きれいな家で過ごしてもらおうとする心がけが、お金に対する敬意になって丁寧に扱い、お金からも好かれて、どんどん集まってくる……という循環を生むのです。
クレジットカードの利用明細を月1回以上はチェックする
いまやクレジットカードや交通系ICカード、スマートフォンを用いた電子マネーなどキャッシュレス決済が主流になりつつあり、「最近、お財布を出すことがない」なんて人も増えてきました。
家賃やスマホ代、通勤・出張費などをクレジットカードで払っている人は、還元されるポイントも大きいので、年1回の旅行費用などに充てていることもあるでしょう。
しかし、クレジットカードや電子マネーは便利でお得な反面、貨幣を見るわけではないので、お金が出ていく実感がわきにくく、お金の流れも見えにくいもの。気をつけなければ、「いつの間にか残高不足になっていた」「先のボーナスに手をつけてしまった」という事態に陥ることもあります。
浪費を防ぐために大切なことは「管理能力」。お金を手渡す重みがない分、入ってくる金額、遣った金額を“数字”で把握することが大事です。スマホのアプリやパソコンで、毎月1回以上、利用明細をチェックすることを習慣づけましょう。
なににいくら遣っているか、ムダな買い物はしていないかチェック。「ちょっと買い物をしすぎたかな」と不安になったら、その都度、“数字”で確認するクセをつければ、自然に「今月は〇〇円以内に抑えよう」などと意識するようになります。
散財しやすいタイプの人は、支払いのたびにスマホに通知が来るように設定する、利用限度額を引き下げる、分割払いやリボ払いはしないなど、自分の使いやすい管理方法で、お金の流れを“見える化”するといいでしょう。
キャッシュレスの管理に慣れれば、予算枠を決めたり、家計簿代わりにしたり、特典を利用できたりして、とても便利。経済感覚を磨くことにもつながるはずです。
出ていくお金に心で「ありがとう」と唱える
なにかを買ったり、公共料金を支払ったりするとき、「あ〜、またお金がなくなる」なんて心のなかでつぶやき、残念な気持ちになっていませんか?
それでは、お金に対してネガティブな印象がついてまわり、「なくなる、なくなる〜」と呪いをかけているようなものです。
でも、ほんとうはお金と引き換えに、喜びや楽しさ、安心など、私たちはなにかを受け取っています。支払えるお金があるからこそ、それを享受できているわけです。
財布からお金が出ていくときやカードで支払うときに、心のなかでお金に「ありがとう!」とお礼を言うことを習慣にしませんか。
すると、お金が入ってくるときも、出ていくときもゆたかな気持ちになれます。
「お金は天下の回り物」というように、お金はとどまっているのではなく、つねに世の中を巡っています。いまはお金がなくてもいつか手に入ったり、いま支払ったお金で自分もだれかも幸せになったりするのです。大切なのは、「お金は喜びを与えてくれるもの」として敬意をもち、感謝して扱うことです。
だから「私はお金に縁がない」とお金を遠ざけたり、「お金なんてなくてもいい」なんてお金に失礼なことを言ったりすると、お金からも嫌われてしまうでしょう。
お金の遣い方も稼ぎ方も、お金にどんな印象をもっているかが表れます。お金を信頼している人は、お金の持ち味を生かして、いいおつき合いができるのです。
支払いをするときに「ありがとう」と唱える習慣は、もうひとつ恩恵があります。
「いい買い物ができた」というときは、気持ちよく感謝できるけれど、衝動買いや無駄遣いをしそうになるときは素直に「ありがとう」が言えず、ストップがかかります。「ほんとうにいい買い物?」と自分に問い直すチェック機能にもなるのです。
有川 真由美
作家