教員確保へ地域枠検討 育成事業「いばらき教員育成プロジェクト」 県教委、大学と連携

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県教育委員会は16日、質の高い教員を確保するための取り組み「いばらき教員育成プロジェクト」の概要を示し、大学で地域教員希望枠(地域枠)を設置できるよう調整、検討していることを明らかにした。全国で教員のなり手が減少する中、大学と連携して地元に定着する人材を確保し、教員不足解消につなげたい考え。

文部科学省は来年度から特定の地域で教員を目指す高校生らのために、地域枠を設ける大学を支援する。地域の教育委員会と連携した教員養成の取り組みの関連経費を補助し、各地域で教員志望者を確保する。

大学入試の地域枠は、卒業後の特定地域勤務を条件とする医学部ですでに実施されている。教員養成系の地域枠はまだ少なく、横浜国立大のほか、千葉大や福井大、宮崎大、大分大などで設置。埼玉大では2025年度入学から学校推薦型選抜で実施される。

県内の24年度採用の小学校教諭の志願倍率は2.22倍、特別支援学校教諭が2.26倍とそれぞれ3倍を切る。県教委は地域枠について、大学の教員養成段階から連携し、小学校や特別支援学校教員の確保などに対応した質の高い教師を継続的・安定的に養成していきたいとした。

これまで県教委は、大学3年生を対象とした試験や、25年度採用の教員選考試験を約1カ月前倒しし、教員確保に力を入れてきた。

プロジェクトではこのほか、教職の魅力を伝える「いばらき輝く教師塾」の対象を大学生に加え、高校生にまで拡充。また、大学生のインターンシップを小中学校のほか、高校と特別支援学校にまで拡大する。県立高では、大学生が教員の仕事内容や魅力を知るゼミナールを設置する予定。

この日、記者会見した森作宜民教育長は「中高生の教員志望の動機付けや、教員選考試験につながるアプローチを続けたい」と述べた。

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