ベトナムがサプライチェーンで中国に取って代わるのは困難―独メディア

ドイツのビジネス誌「Wirtschaftswoche」はこのほど、「ベトナムはドイツ企業を引きつけているが、この国は本当に中国より優れているのか」とする記事を掲載した。写真はベトナム・ハノイ。

中国メディアの参考消息は「ベトナムがサプライチェーンで中国に取って代わるのは困難だ」との見出しを打ち、「ベトナムはドイツ企業を引きつけているが、この国は本当に中国より優れているのか」とするドイツのビジネス誌「Wirtschaftswoche」の記事を取り上げた。

記事によると、ベトナムから帰国したばかりの企業経営者で、ベトナムへの熱意に満ちているノーマン・ゴールドバーグ氏はWirtschaftswocheのポッドキャストで、ベトナムへの投資は「完璧」だとし、ベトナム人は「非常に勤勉」で「前に進む」ことを望み、「20年前の中国を想起させる」と語った。

記事は「多くのドイツ人経営者にとって、『チャイナプラスワン』が時代の流れとなっている。企業はもはや中国に投資するだけでなく、他のアジア諸国にも工場を建設している。一部のドイツ企業が早くからベトナムに重要な拠点を置いているため、多くの人がこの国に注目している」と伝えた。

記事によると、ゴールドバーグ氏は「最終的にベトナムに決めたのは、中国からのバリューチェーンの大部分がベトナムで終わることが分かっていたからだ」とし、「韓国の電子機器メーカーはベトナムを『拡張ワークベンチ』とみなしている。さらに、中国の顧客にも『比較的簡単に』ここから供給できる」と語ったという。

記事は「では、ベトナムは中国に代わる完璧な国なのだろうか。そうでないことは明らかだ」とし、「西側企業はこれまでのところ、重要な開発段階をこの国に移転することに消極的だ」「ゴールドバーグ氏によると、これまでのところ、この国で新しいものを設計するのに十分な能力を構築することは困難だ。同氏の会社は近いうちにシンガポールで研究を始めるかもしれない。なぜなら、シンガポールには多くの開発専門知識があり、知的財産の保護が保証されているからだ」などと伝えた。

また、ドイツ政府の経済振興機関であるドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)がベトナムの投資環境について、「まだ改善の余地がある」とし、ベトナムの長所と短所の分析の中で、「訓練を受けた熟練労働者の不足」「インフラ不足による物流コストの高さ」「汚職と限定された法的保護」について批判したことを紹介した。

その上で、「ベトナムの汚職撲滅運動には希望があるが、GTAIによると、汚職との戦いが、政府当局の政策決定を遅れさせている。なぜなら当局者らは汚職疑惑にさらされるリスクを負いたくないためだ」と伝えた。

記事はさらに「中国と某国との間で大規模な紛争が勃発した場合、ベトナムへの投資が保護されるかは決して確実ではない」とし、ルードビヒスハーフェン経済大学東アジアセンターのマヌエル・フェルメール教授が「中国ではなくベトナムに投資しても、企業を地政学リスクから守ることはできない。市場があまりにも小さいため、中国に代わる選択肢としてみなすことはできない。さらに多くの半製品もベトナム国内で調達できない。これらは中国から入ってくるので、ベトナムでの生産も中国との地政学的な緊張の影響を受けるだろう」と警告していると伝えた。(翻訳・編集/柳川)

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