【石川県珠洲(すず)市で報道部・稲垣大助、斉藤元】大量のがれきと手つかずのままの被災家屋―。能登半島地震の発生から1カ月半がたった16日、震源に近い珠洲市で見たのは、13年前の東日本大震災と重なる光景だった。突然の災禍に自宅を奪われた住民はやるせなさを訴え、高齢化が進む地域では将来への不安がこだまする。それでも復興を信じ、懸命に前を向く姿がそこにあった。
粉々になった壁や家財、泥だらけの写真、つぶれた車。4メートルを超える津波が押し寄せた同市飯田町には今も多くのがれきが広がり、震災当時の被災地の姿を思い出す。
「これでも片付いたほう。直後は車が道路をふさぎ、とても入れる状態ではなかった」。海沿いに暮らす看護師藤尾大夢(ひろむ)さん(23)は、変わり果てた自宅近くの景色を見ながらこう語った。