新NISAが最新のポイ活になる!? お金の専門家が主婦に投資をすすめる理由とは

Liubomyr Vorona/gettyimages

2024年1月から「新NISA(ニーサ)」が始まりましたが、物価がどんどん上がる中、家計を預かる主婦からは「投資にかけるお金なんてない!」という声をよく聞きます。しかし、節約アドバイザーの丸山晴美さんは「新NISAは家計をあずかる主婦こそ合っている投資」と言います。その理由と、これから始めるときのコツを聞きました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2024年1月時点の取材情報を基にしています。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「主婦に新NISAが合う理由」!

ポイ活で貯めたポイントで新NISAを始めてみよう

通常の証券口座で投資をした場合、出た利益の20.315%が税金として引かれますが、「NISA(ニーサ)」口座で出た利益にかかる税金は非課税となり、利益全てが自分のものになるのが特徴。
さらに2024年から始まった「新NISA」は、非課税となる期間が無期限になるなど、少額投資をする人にとってのメリットが大きくなっています。

私は常々、「NISA口座を使った投資は主婦が最も始めやすい身近な投資」だと考えています。もちろん新NISA口座での投資もそうです。理由は、ポイ活で貯めたポイントで投資ができるからです。

例えば、楽天証券は楽天ポイント、auカブコム証券はPontaポイント、SBI証券ならTポイント、Pontaポイント、Vポイントで100ポイント(期間限定ポイントは利用できません)から投資信託などを購入することができます。

もちろんポイントに現金をプラスして、投資信託だけではなくミニ株なども購入することもでき、やりくりで浮いたお金をプラスして投資をすることもできます。

ポイント投資はポイントを現金に替えられる有効な手段のひとつ。貯めたポイントを買い物に使ったらただ消費するだけですが、投資に回すことで現金が減るリスクを減らしつつ、ポイントに働いてもらうことができるんです。

運用するのが面倒!という人はロボアド投資という手もあり

新NISAを始める際は、投資する商品を自分で選ぶ必要があります。それが「面倒くさい」「わからないし調べている時間もない」という理由で投資をためらっている人は、「ロボアド投資」を選ぶのも一案です。

ロボアド投資は質問に答えるだけで運用プランをAIが診断して、提案してくれます。そして、毎月定額を入金すれば、あとはプログラミングで自動的に最適なバランスで取引してくれるので、手間をかけずに新NISA口座を使った資産運用が始められます。

ただし、すべてのロボアド投資が新NISAに対応しているわけではありません。運用をまるっと任せられる投資一任型のロボアド投資は、WealthNavi(ウェルスナビ)の「おまかせNISA」、楽天証券の「らくらく投資」、SUSTEN(サステン)の「インベストメント・オートメーション」などです。

また、楽天証券の「らくらく投資」では、楽天ポイントを利用したロボアド投資もできます。

新NISA口座に対応し、かつ助言だけを行うアドバイス型のロボアド投資は、松井証券の「投信工房」や、三井住友銀行の「SMBCロボアドバイザー」などがあります。

NISA口座は1人1口座しか持てません。自分の取引スタイルや取扱金商品など総合的に考えたうえで、金融機関を選ぶことが大切です。

物価が上昇しているときは副業や節約だけでは足りない!?

お金の増やし方には、「副業などで収入を増やす」「節約してお金を浮かせる」「資産運用をする」の3つの方法があります。かつての物価が持続的に下落していて現金の価値が高かったデフレ時代は、「収入を増やす方法」や「節約して貯める方法」さえすればどうにかなりました。

しかし、今は物価がどんどん上がり現金の価値が下がるインフレの状態です。例えば、マヨネーズなどはこの5〜6年で150円くらい上がりました。

では、その分手取り収入も増えているのかというと、税金などが上がっているため、可処分所得(税金や社会保険料などを除いた自由に生活などに使えるお金)は30年前からほぼ変わっていません。つまり、ものの価値は上がり、お金の価値がどんどん下がっているのです。

この状況は世界的にまだまだ続くと言われており、今後の物価上昇のリスクに備えるには「資産運用」を加えることがとても重要なのです。

120万円を10年預けると銀行利息は2,000円以下、新NISAは19万円以上!?

2023年11月にメガバンクの10年定期預金の金利が、0.002%から0.2%に上がったというニュースが流れました。しかし、0.2%になっても、120万円を10年間預けた場合の受け取り金額は120万1,914円。利息は税引き後で1,914円と、2,000円にもなりません。

一方、つみたてNISAの平均利回りの正確な数値は公表されていませんが、金融庁の「国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率の分布」によると、保有期間20年の場合で年率2〜8%の収益率とされています。

そこで、金融庁「NISA特設ウェブサイト」の資産運用シミュレーションで、毎月1万円を年率3%として10年積立した場合を計算してみました。

最終積立金額は139万7,414円。同じ120万円ですが、こちらはNISA口座で運用すれば19万7,414円の利益がまるっと受け取れる計算になるのです。

もちろん投資ですから、必ずこうなるとは言えません。でも、こうなる「可能性」はあり、預貯金では元本は減ることがありませんが、決められた金利以上に増える可能性がありません。お金を守ってもらうことはできますが、働いてもらうことができないと言い換えることができます。

2〜3年後など近々使う予定のあるお金は、預貯金等で確実に貯めるのがいいでしょう。でも、10年以上先に必要な老後資金や子どもの大学進学資金などは、一部を新NISAで運用して、物価上昇のリスクに備えることをおすすめします。

※投資には元本保証はありません。損失のリスクも検討し、自己責任のうえで行ってください。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママの『お金に困らない』本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)、「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)「節約家計ノート2024」(東京新聞)steady.特別編集「知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本」(宝島社)など多数。

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取材・文/かきの木のりみ

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