ひと言も分からない授業ってどんな感じ? 沖縄在住外国人の悩み、琉球大学で学ぶ

 【中部】「知ろう! 考えよう! 楽しもう! 沖縄県の学校におけるダイバーシティー ~県内在住外国人保護者と学ぶワークショップ~」と題したイベント(主催・琉球大学教育学部)が3日、西原町の同大学であり、教員ら約40人が参加した。参加者は、ネパール語の模擬授業に参加し、ひと言も聞き取れない状況を体験。「外国ルーツの子どもたちにとっての日本の学校」を想像した。(中部報道部・平島夏実)

 外国にルーツのある児童生徒とその保護者の現状を知り、教育現場や地域での取り組みを考える試み。

 模擬授業は、白板にネパール語が4行書かれている状態で始まった。教員役のカルキ・ラビンさんが文字を九つ並べ、隣に「1」「2」…「9」と付け加えて初めて、参加者はネパール独自の数字表記があると知った。バスと子どものイラストが張り出されてようやく、「全員乗るには何台必要か」という割り算の授業だろうと見当が付いた。

 参加者からは「数字やイラストがなかったら、そもそも何の教科の授業なのかも分からない」「この状況を1こま45分で何回も耐えるのはすごく大変」との声が上がった。

 その後は、県内で子育てをしている海外出身の保護者5人が体験を語った。ネパール出身で2児の父のポカレル・レサムさんは「困った出来事はたくさんあったけど、一番覚えているのは小学校の運動会」と切り出した。

 「明日運動会があるので来てください」と学校に呼ばれて行ってみると、全校児童が弁当と菓子を持参していた。急いでコンビニへ走り、「パニックで4600円分も買ってしまった」という。夜のうちに場所取りをする慣例も衝撃的だったといい「『運動会』という言葉は知っていても、どういうものか分からない。先に教えてほしかった」と振り返った。

 韓国出身のグォン・ミョンエさんは子どもが保育園に通う。子どもは園にいる時間、韓国語を話そうとせず、ミョンエさんに韓国語で話しかけられるのを嫌がるという。「『自分だけ違う言語なのは恥ずかしい』と思うみたい。私は何のために子どもに韓国語を教えているのだろう」と複雑な思いを吐露。「目上の人に対する正しい言葉遣いを教えたくても、自分の日本語力ではうまくできない」というもどかしさも語った。

沖縄での子育て経験を語るネパール出身のポカレル・レサムさん(右)=3日、西原町・琉球大学
ネパール語で模擬授業をするSOLA学園留学生広報職員のカルキ・ラビンさん

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