冬季国スポ、アルペンコース短縮決定 半分以下、少雪では本県開催初

赤倉温泉スキー場で雪の状況を確かめる関係者=最上町

 最上町の赤倉温泉スキー場で行われる第78回国民スポーツ大会(国スポ)冬季大会スキー競技会「やまがた雪未来国スポ」のアルペン種目に関し、県は16日、積雪不足のためコース(全長1051.50メートル)を半分以下となる約480メートルに短縮して実施すると発表した。県によると、国民体育大会時代を含め、本県開催の大会で少雪によりアルペン種目のコースが短縮されるのは初めて。

 大会組織委員会を構成する県や同町、全日本スキー連盟の関係者が現地を視察し、積雪状況や天候の見通しを踏まえ、判断した。県国民スポーツ大会推進課によると、当初予定した標高601.45メートルのスタート位置を、同432.20メートルに下げる。コース延長は482.50メートルに短縮され、高低差は300.55メートルから131.30メートルになる。

 最上町は2月上旬からダンプカーなどを使い、会場に雪を運び入れる作業を続けた。既に1万立方メートル以上を搬入したが、気温上昇で雪が解けるなど難航した。視察した全日本スキー連盟の林辰男理事は「いまだかつてない状況だが、大会実現に取り組む町の努力に心から感謝し、開催に向けて進みたい」と話した。

 大会組織委員会として19日に最終決定し、競技は22~24日に行われる。「山形もがみ国体」(2004年)「やまがた樹氷国体」(14年)では強風や、大雪による視界不良でアルペンコースが短縮された事例がある。同課は「本来のコースで実施したかったが、雪不足の影響でやむを得ない判断となった。残りの期間で競技環境をできる限り整えたい」としている。

関係者「実力差が出にくい条件に」  赤倉温泉スキー場の「国体コース」は最大高低差約300メートル、最大斜度26度で緩急のある難コースとして知られるが、大幅なコース短縮により「実力差が出にくい条件になった」とみる関係者は多い。競技面にどう影響するのだろうか。

 当初より標高約170メートル下の位置からのスタートは、他県選手のみならず、本県選手の多くにとっても未経験。県スキー連盟アルペン部長で県選手団の庄司優アルペン監督(日大山形高講)は「県勢の『地の利』はほとんどない状態でのレースになる」と語る。別の関係者は「(前半の急斜面がなくなり)スピードが出にくい。コースが短いだけに、一つのミスが命取りになる」と分析した。

 県選手団の中には、コース短縮を前向きに捉える選手も。アルペン成年男子Aにエントリーしている三上大我選手(置環)は「短縮されたとはいえ、(このコースのポイントとなる中盤の)要所は残る。そこで地の利は生きてくる」とし「高校生の頃から何度も滑ったコース。序盤からしっかりとスピードに乗りたい」と意気込んだ。

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