旅好き芸人・友近さんが語る「いつでも旅をしたい気持ちが若返りの秘訣です」

「スケジュールが空くと、ひとりで気ままに旅に出ます」、そう語るのは、「旅好き芸人」として知られる友近さん。温泉旅に鉄道旅、ひとり旅から友人や後輩とのにぎやかな旅まで友近さんならではの視点でそれぞれの魅力を語っていただきました。

お話を伺ったのは
芸人
友近さん

ともちか●1973年、愛媛県生まれ。2000年に吉本総合芸能学院(NSC)大阪校に入学。卒業後は得意とする歌やモノマネなどを生かし、テレビやラジオなどで幅広く活躍。
演歌歌手・水谷千重子としてCDリリースや公演も行う。
近著は初エッセイ『ちょっとここらで忘れないうちに』(徳間書店)。

仕事の旅もプライベート気分で楽しんでいます

泉好き、鉄道好き、おいしいもの好き。「だから旅が大好き」と話す友近さん。「友近・礼二の妄想トレイン」(BS日テレ)や「おさんぽ北海道~この旅はお世話になります」(北海道放送)などの旅番組に出演する他、演歌歌手・水谷千重子としての公演などで日本中を飛び回る。

「『おさんぽ北海道』は、北海道の179市町村を5年間で回ろうという目標をコンセプトにスタート。北海道だけでも全部回るのには時間がかかるので、人生があと40年くらいあるとしても、日本中を回るのに時間が足りるかなと思っています。水谷千重子で地方公演に行くときも、この地が好き、そこを旅したいから公演を入れるような感じで(笑)。おかげで日本の温泉地はもう全部行ったかもしれません。でも、何回も行きたいところがいっぱいあるし、東北などはゆっくり滞在していないから、まだまだたくさん旅をしたいなと思っています」

仕事となると旅の楽しみが半減しそうな気がするが、「そんなことはない」と友近さん。

「旅番組などのロケで、よくみんなが『これがプライベートやったらいいのにな』とか言うんですけど、『だからあかんねん』って思うんです。ロケもプライベートみたいに楽しんだら仕事がもっと楽しくなるのに、って。だから私は常にカメラの前でもプライベートの旅行気分。『素の私を映してもらったらいいわ』という気持ちでいるので、あんまり仕事感がないんです。それがテレビ的にいいのか悪いのか、わからないんですけど(笑)。だから自分からどんどん地方の仕事も入れる。それは旅がしたいからです」

旅に欠かせない小物

肌をお手入れ

旅先では美容液マスク、アロマのボディ用オイル、フェイス&ボディクリームで肌をケア。

食べすぎたときに

伸縮性のよいウエスト用のバンドは「旅行中に食べすぎたとき、おなかに巻いています」。

「おこもり」温泉旅はリフレッシュに最適

忙しい仕事の合間に休みが取れたら、1泊2日でふらりと気ままなひとり温泉旅へ。

「プライベートでは、ロケや公演などではなかなか行けない、本当に自分が行きたい温泉地に行きます。基本的には温泉で『おこもり』が多いので、宿に着いたら観光もせず、露天風呂に入って、夕飯を食べ、またお風呂に入って。次の日の朝チェックアウトして、帰ってきたら昼から仕事、なんてこともよくあります。とにかく外に出てリフレッシュしたい、環境を変えて楽しみたい。そして『日本にもこんなにいいところがまだあるんや』というのを、もっともっと知りたいという感じです」

スケジュールが合えば、友人や後輩たちとも旅を楽しんでいる。

「私は愛媛出身なので、再発見をしようと思って愛媛によく行くんですけど、いいところを見つけたら『友近ツーリスト』と名づけて案内しています。先日も後輩のお笑いコンビ・ガンバレルーヤのふたりを連れて、1泊2日で愛媛を旅してきました。ロケ並みのスケジュールを組んで、『ここ行こう』『次はあそこ!』。絶対に満足してもらえるはず、私しか知らないスポットやあまり雑誌に載っていない場所を巡りました」

日本最古の温泉といわれる道後温泉を擁する松山市出身。大学卒業後、道後温泉で仲居をしていた経験もある友近さんだけに、「友近ツーリスト」の旅は楽しそう!

「宿泊先は道後温泉ですが、その奥にある奥道後温泉もお湯がすごくいいんです。そこで日帰り温泉を楽しみ、おすすめの店で食事して、路面電車に乗って観光して。日本の温泉地に3軒しか残っていないといわれているストリップ劇場にも行きました。歴史とロマンの街を味わってもらえたと思います! たぶん(笑)。実際ふたりともとても喜んでくれました!」

飛行機や新幹線、宿の手配など、旅のコーディネートもすべて担う。

「何だったら水谷千重子のツアーで全国を回るときも、ホテルは私が決めて予約したりするくらい。新しくてきれいなところを探すのが好きだし、得意なんです。毎日、朝起きたらすぐ『じゃらん』を見てチェックしていますからね(笑)」

友近さんの旅SNAP

友近さんがお気に入りの旅先を厳選し、紹介してくれました!

おひとりさま温泉大好き!

地元・道後温泉(愛媛県)は女性ひとり旅にもおすすめ。「山、海、街に近い温泉地で退屈しませんよ」
毎冬、赤倉温泉(新潟県)へ。「スキー場にあるホテルで、ゲレンデを眺めつつ温泉につかるのが最高」
のぼせ防止に、風呂上がりにあおぐ扇子と、飲用の温泉水。「キャップは旅先でいつもかぶっているもの」

「友近ツーリスト」で後輩をおもてなし

後輩芸人も信頼を寄せる「友近ツーリスト」。完璧な段取りで1泊2日の旅をアレンジ。写真は松山城。
友近さんおすすめの焼き肉屋さんで肉三昧。

車窓の景色を見ながら妄想するのも旅の楽しみ

中川家の礼二さんと共演する旅バラエティ「妄想トレイン」では、鉄道の魅力を再発見。

「番組のおかげでJR九州の鉄道デザインのクオリティが高いと知ることができたし、実際のロケで西九州新幹線にも乗りました。鉄道の知識が深まったので、プライベートでも鉄道旅を楽しむように。ひとりで観光列車に乗りに行ったりしています。でも観光列車は予約が取れないから大変なんです。電話したり、サイトをチェックしたりしています」

今まで乗った中でいちばん印象的なのは、九州7県を巡る観光列車「36ぷらす3」。

「2回乗りましたが、とにかく豪華。観光列車は、動くホテルのようで『列車の中でこんな贅沢できるんだ』というのが驚きで楽しい。私はいろんな人の生活を想像するのが好きなので、車窓から、通り過ぎるマンションや一軒家を見ては、『ここに住んでいる人はどんな生活してるんだろう?』なんて妄想しちゃう。これは礼二さんも『俺もまったく同じこと思ってる』と言ってました。車窓の景色を見るだけじゃなくて、その先の妄想までが旅なんです(笑)」

せっかくなら旅先でもおいしいものが食べたい。常に旅情報をチェックしている友近さんは、グルメスポット探しにも余念がない。

「グルメサイト『食べログ』を見ますが、点数だけに惑わされないようにしています。写真を見て『いい素材を使ってるな』『あんまり見たことない料理やな』、あとは何となくお店の雰囲気とかで判断して、点数が低くても行ってみる。それで外れたことがあまりないんです。これもみんなによくほめられます」

おいしい店を探す嗅覚もまた旅で磨かれてきたようだ。

「スナックなどが入っている雑居ビルの5階の奥にあるお店とか、みんなに『大丈夫?』って言われるけど、実際に行ってみるとめちゃめちゃおいしかったり。バーみたいな感じなのに、ちゃんとだしを使った和の料理を出しているお店だったり。そういうお店は中が見えなかったりするから、ドアを開けるのに勇気がいります。でも、行くまでにめちゃめちゃ下調べするから大丈夫!」

旅先にてひとりで食事をしていると、思わぬ出会いをすることも。

「福島・いわきに泊まったとき、ひとりで焼き鳥屋さんに行ったんです。めちゃめちゃおいしかったんです。そして帰り際に店主が、『水谷千重子さんのファンで、昨日ディナーショーのチケットが届いたばかり。そうしたら今日、友近さんがお店に来たからびっくりしました』って。すごいタイミングだし、たくさんあるお店の中から私もよくそこを選んだなと思って感動しました」

朝起きたらすぐに旅行サイトをチェック。 東北、北海道…… 全国、まだまだ行きたいところが たくさん!

温泉にキャンプ、 どこにでも行きたい!

東京で過ごすのは週1、2日。「家にいるより旅をしている時間のほうが長い」と笑う。

「だから大変ですよ、荷物が。でも、自ら旅したくてスケジュールを組んでいるので仕方ないですね」

これから行きたいところを尋ねてみると、まっ先に挙がったのが山形・銀山温泉。

「情緒ある街並みが素敵なので、冬に行きたいなと思っています。予約を入れようと思っても、いつもいっぱいなんですけどね……。あとはキャンプやグランピングも好きなので、ゆっくりリラックスできるようなキャンプ場にも行きたいな」

ここに行きたい、次はあそこに。旅への好奇心をもち続けることが友近さんの若々しさの秘訣のよう。

「旅に行きたいという気持ちがあると若返りますよね。そのいい例がうちの祖母。95歳なんですけど『今年はハワイに行きたい』と言うんです。それを聞いて私も『絶対連れていくわ!』。年末年始は一緒にハワイに。愛媛に帰るとよく祖母と道後温泉に泊まりに行くんですけど、コース料理もペロッと食べるし、めちゃめちゃしゃべるし。『私、95歳までその気持ちもっていられるかな』と考えると本当にすごい。あの気力・体力を見習って、私もまだまだ旅を楽しみたいと思っています」

「95歳で『ハワイに行きたい』と リクエストしてくれた祖母が大好き。 あんなふうに、何歳になっても 旅する気力・体力がもてたらいいな」

※この記事は「ゆうゆう」2024年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/中村彰男 ヘア&メイク/根本茉波(style 45) 取材・文/本木頼子


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