物件の高騰により〈買いにくい=売りにくい〉状況が続いているが…不動産投資の成功者が実践する“儲からない物件”への対応策とは

(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資において、思うように収益が見込めない物件であれば、「売り時」のタイミングで売却するのが正しい、という考え方が一般的です。しかし、「焦って売るより、『所有する・売る』という選択肢を持っておくことが重要』と、リフォーム投資のプロである株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏は言います。柳田氏による著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』(プラチナ社)より、非収益物件との向き合い方について、詳しく見ていきましょう。

リフォームの力で「非収益物件」を「高収益物件」へ

私は、リフォームによって物件の価値を上げられることに気づいていない人が多いと感じています。

感覚としてはリフォームを「修繕」(壊れたものを直す工事)「原状回復」(もとに戻す工事)だと考えて、ただの経費程度の認識しかない人が多いようです。

私の考えとしては、リフォームは投資であり、非収益物件から高収益物件にも変える力があると思います。

多くのサラリーマン投資家はリフォームに対して、なるべくお金を惜しみたいと考えており、投資をする感覚が欠如しています。

リフォームを経費として考えてしまえば、ただのキャッシュアウトでしかありません。そうではなく「物件をより良くするもの。よりお金を生み出すもの」と捉えてみましょう。

私が提案しているのは、このように投資的な考え方です。たとえ最初の段階でキャッシュアウトが伴ったとしても、そこに新たなお金を稼ぎ出すことができれば良い投資なのです。

またうまくやれば、キャッシュフローが増える効果も期待できます。不動産投資の王道はキャッシュフローを多く得ることだと思います。

収益力を上げるには、物件に力がなければいけません。

空室をただ埋めるのではなく、より高い家賃で埋めることができれば収益はアップしキャッシュフローが厚くなります。そして、その利益で投資したリフォーム資金を取り戻すことができるのです。

不動産投資で重要なのは、「費用対効果が高く、高収益な物件に変えるためのノウハウを持っていること、そして売却をうまく連動させられること」です。

不動産投資における失敗にはいくつか種類がありますが、「致命的な失敗物件」を除けば、実はやり直せるケースも多々あります。

保有か売却か…選択肢をつくることが大事

2017年までは物件が高騰して買いにくい状況が続いていました。そして、2018年からぱったりと融資の扉が閉じてしまい、サラリーマン投資家が新規で物件を購入するのが難しい状況です。

買いにくいということは売りにくいのと同義であり、このような市況では、なかなか買い手を見つけることができません。

しかし、リフォームをして高稼働で運営ができていれば、残債がどんどん減っていきます。また利回りが上がるので、売却のチャンスも広がります。

つまり、たとえ過去には失敗物件だったとしても、売れる物件に変わるということです。私からすると、物件の可能性(以下「ポテンシャル」)を最大化できていない物件は数多くあるように見えます。伸びしろがまだまだあるのに、低い家賃で貸してしまうのは非常にもったいないです。

逆に、ポテンシャルを見抜いて最大化しているサラリーマン投資家は、不動産投資で失敗はしていないはずです。

「サンタメ業者」といわれる中間省略を行う業者は、投資家側の無知識をわかったうえで、仕入れた物件に多くの利益を乗せて転売しています。

その価格の基準は、物件の価値に見合ったものではなくて、銀行融資が通る基準に合わせており、「収支は合うのか?」「投資として儲かるのか?」ということは考えられていません。

このような不動産業者は、「融資付屋さん」という名がふさわしいくらい、ただ売るだけで終わっていたのではないでしょうか。

そして、そのような失敗物件を買う人もまた、「その物件がきちんと稼働するかどうか」ではなく、「融資が付くかどうか」で判断して買っているので、物件のポテンシャルに意識を向けることがないのだと思います。」

売却した人も「売り時だから」という理由だけで売ってしまっているケースがほとんどです。

結局のところ、投資家側も業者側も同じ理由で、右から左へ物件を流しているところが非常に多く見受けられました。

このようなやり方は、融資が付きやすい市況であれば高値売却は可能ですが、完全にタイミングに依存するのでギャンブルのようなものです。本物の投資家は、物件のポテンシャルを最大限に引き出して、収益を最大化して運用しています

また、失敗物件は売却すべきと提案はしているものの、今の市況だと融資を受けて買う人を見つけるのは難しいのが事実です。しかし、時代は繰り返します。高稼働物件を所有していれば、必ず売却できるタイミングが出てきます。

融資というのは、ずっと門戸が開いている時期が続くわけでも、ずっと厳しい時期が続くわけでもありません。

ですから、今は焦って売る必要はまったくなく、物件の価値を最大化に注力すべきだと考えます。「所有する・売る」という選択肢を持っておくことがとにかく重要です。

柳田 将禎

株式会社ピカいち

代表取締役

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