新NISAで投資デビュー。日銀が金利を引き上げたら、株価はどうなるの?

金利が上がると、株価にはどんな影響がある?

まずは、金利と株価の関係性からひも解いていきます。あくまでもセオリーとして一般的な考え方なので、必ず以下の説明どおりになるというわけではないことにはご留意ください。

__金利が上がると、株価は下がる
金利が下がると、株価は上がる__

金利が上がった場合、私たちの暮らしはどうなるでしょうか。例えば、金利変動型の住宅ローンを借りている人の場合、金利が上がると支払額や利息が増え、返済負担が大きくなります。逆に、金利が下がると返済負担は減ります。

つまり、金利が上がると毎月返済する金額が増えてしまうため、余分にお金が使えなくなり、景気の冷え込みにもつながります。一方、金利が下がると返済額が減り、使えるお金が増えることで景気が向上すると考えられます。

企業においても同じです。お金を借りている企業にとって金利の上昇は負担の増加となりますが、金利の低下は業績改善につながるメリットがあります。

こうした点から、金利が上がると株価は下がり、金利が下がると株価は上がるということができます。

金利が上がっても金融緩和政策は続く

金利をコントロールしているのが日銀で、日銀が行う金融政策を通じて金利が引き上げられたり、引き下げられたりします。金融政策のなかでも、金利を引き上げることを金融引き締め政策、金利を引き下げることを金融緩和政策といいます。

最近の「日銀が金利を引き上げるかもしれない」といった報道は、金融引き締め政策のように受け止められることがあります。ただし、日本では2016年から金利をマイナス圏で維持するというマイナス金利政策を行っているため、現段階では金利を引き上げるといっても、例えば現行のマイナス0.1%から0.0%に上げるといった程度のことです。

金利を引き上げたとしてもゼロ金利に戻すということなので、金利は依然として低い状態のままとなります。つまり、金融緩和政策が維持されるという解釈もできるでしょう。

本記事の執筆時点(2024年1月20日)では、今のところ、2024年4月の日銀会議(金融政策決定会合)で金利が引き上げられるという見方が多数を占めています。ただし、2024年1月1日に発生した能登半島地震の影響を考慮すると、4月の利上げは難しいという意見もあるため、ひょっとしたら2024年後半にずれ込む可能性があるともいわれています。

金利が上がると一時的に株価は下がるかもしれないが……

それでは、仮に金利が現行のマイナス0.1%から0.0%に引き上げられた場合、日本の株価にどのような影響があると考えられるのでしょうか。

セオリーどおりで考えれば、金利が上がるわけですから、日経平均株価指数やTOPIX(東証株価指数)といった株価指数は下がるかもしれないと思うのは当然でしょう。

日本の金利が上がると、日本円の価値が上がるため、円高になりやすくなります。日本株の場合、円高になると株価が下がりやすくなるため、日経平均株価指数などの株価指数も下がる可能性があると考える必要があります。

とはいえ、金利が上がるといってもマイナス0.1%から0.0%に戻す、つまり、金融緩和政策を維持するわけですから、外国からしてみれば「日本の金利は低すぎる」「日本円に魅力はない」となり、一時的に円高になったとしても、どこかのタイミングでまた円安に戻る可能性もあります。

日本株にとって、円安は上昇要因です。このようなことから、金利が上がったとしてもゼロ金利で維持されるため、株価にはあまり影響がないと考えるのが妥当ではないでしょうか。

まとめ

今回説明したように金融政策を見ていくと、日銀が金利を引き上げたとしても、長い目で見れば株価は上昇する可能性が高いと考えることができます。また、日本株に投資するうえで考慮する必要があるのは、今後、日本の景気が良くなっていくかもしれないということです。

景気が良くなる場合にはいくつか理由がありますが、最たるものとしては賃上げが挙げられるのではないでしょうか。賃金が上がると人々の暮らし向きは良くなり、使えるお金が増えて消費活動が活発化し、企業の業績や株価の向上にもつながります。国が目指す経済の好循環とは、このような流れとなることでしょう。

執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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