【テニスルール虎の巻】シューズが破損した場合は交換できるが、「シューズが濡れた場合」も交換できるのか<SMASH>

多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

今回のケースは「濡れてしまったシューズの交換」についてです。テニスシューズが破損した場合はルールブックにも記されている「用具の不具合」を理由に交換できますが、雨模様の試合で「シューズが濡れた時」も同様に交換してもいいのでしょうか。

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結論から言えば交換できます。1試合で1回限りエンドチェンジ時に履き替えることができます(時間の延長が許される)。

ただ、今回のケースは「用具の不具合」には該当しません。不具合の場合は「シューズの紐が切れた」「アウトソール(靴底)がはがれてしまった」など破損した時です。こうした場合、予備が会場内にあるなら替えのシューズを取りに行くことが許されます。

シューズが濡れて足が滑る、プレーしていて不快だ、というのは用具の不具合ではありません。ですから履き替えたいシューズがコート内(バッグの中など)にあるなら、コート内のベンチでシューズを取り出し、すぐに履き替えられる場合はエンドチェンジの時間を少しだけ延長してもらい履き替えることができます。

それが1試合に1度というわけです。
履き替える際はロービングアンパイアを呼びますが、エンドチェンジになってからロービングを呼んで…、となるとアッと言う間に20~30秒経ってしまいます。履き替えるならエンドチェンジした瞬間から始めたいものです。そのため、別のタイミング(エンドチェンジ以外)でロービングに申し出て「次のエンドチェンジの時にシューズを履き替えたい」ことを伝えておき、ロービングにそれまで待機してもらうのがいいでしょう。

こうしたルールをお互いが理解していれば「次のエンドチェンジでシューズを履き替えます」と相手に伝えておけば大きな問題にはならないでしょう。

とはいえ、シューズの履き替えが2分、3分と長引くようならば、時間のかかり過ぎなのでロービングや審判に来てもらい、履き替え状況を見てもらうのがいいでしょう。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2023年9月号より抜粋・再編集

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