やす子・ザコシ・錦鯉ら人気芸人が出演する動画が話題。一見するとバラエティ。実は世の中の「採用面接」に一石を投じていた

左からハリウッドザコシショウさん、錦鯉・長谷川雅紀さん、やす子さん

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就職(転職)活動の面接はどうあるべきか。2021年12月にソニー・グループが公開した採用動画が時を経て話題だ。出演する芸人が届けるコメディを観ているような気持ちになるコンテンツだが、採用面接のあり方に一石を投じているものとなっている。

動画に出演するのは、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)所属の人気芸人のハリウッドザコシショウさん、錦鯉・長谷川雅紀さんと渡辺隆さん、やす子さんの4人だ。映像はレトロな雰囲気を醸し出している。

ザコシショウさん、長谷川さん、渡辺さんの3人は面接官や志願者の役をコミカルに演じる。セリフはなく、表情と身体の動きを活かした表現だけ。3人の演技の途中でやす子さんの解説が入り、ソニーが採用時に大切にしている考え方を分かりやすく伝えている。

ソニーがコミカルに伝えた「3つの柱」

動画ではまず、「私服での面接」が可能なことが伝えられる。

ザコシショウさんと長谷川さんが志願者として登場し、面接官を演じる渡辺さんとの掛け合いのなかで私服面接に適した服装を考えていくという展開だ。

やす子さんは「いつも通りの自分を出せるよう、リラックスできる格好でOKです。ヘアースタイルも自由です。もちろんスーツでも大丈夫です。奇をてらう必要はありません」と解説する。

ソニー・グループはかねてより、私服面接を推進してきた。

ソニーの採用担当者は2019年、「普段と違った就活用の髪型や服装でいると緊張したり、本来の自分を出せないのはお互いデメリットと考えています。それであれば本来の自分を表現できる格好で来てほしい」と説明している

続いて紹介されたのは、「集団面接を実施しないこと」についてだ。

長谷川さん演じる志願者が面接室に入るも、ザコシショウさんが扮する個性あふれるほかの志願者に圧倒され、なかなか自分らしさが発揮できない様子が描かれる。

「ソニーでは1次面接から最終面接までずーっと個人面接。周りを気にせずリラックスして、自分らしく話をすることができます」とやす子さんが伝える。

最後に紹介されたのは、「コース別採用」について。

ついに採用を獲得したザコシショウさんと長谷川さんがカプセルトイの機械を回し、出てきたカプセルを開けて配属先を知る様子が描かれる。2人は希望の配属にならず落胆するが、そこにスーパーヒーローのような姿に扮した渡辺さんが現れ、棚にずらりと並べられたカプセルの中から希望の配属先を選ぶように促すという展開となっている。

「ソニーでは『みなさんが何をしたいのか』という思いを大切にしています。そういった考えから、コース別採用を行っており、数十以上のコースからエントリーすることができ、そのため入社時から自分が望んだ職場でキャリアをスタートすることができます」とやす子さんのナレーションが入る。

ザコシ・錦鯉・やす子...人気芸人を通じて伝えたかったこと

動画の最後では、なぜソニーが「私服面接」「個人面接」「コース別採用」を実施しているのか、改めて解説されている。

その理由は「自分のキャリアは自分で築く」という考え方を大切にしているからだという。

やす子さんのナレーションでは「ソニーがコース別採用や、個人面接、私服面接を行っているのは、自分のキャリアは自分で築いていくために、学生の頃から何をやりたいのか、そのためにソニーで何を成し遂げたいのかしっかりと考えてほしい。そして、選考中にしっかりと自分らしく、後悔することなく想いを伝えてもらいたいという考えからなのです」と説明される。

私服面接に関しては近年、「私服でお越しください」というメッセージを打ち出す企業が増えている。また、三井住友銀行と三菱UFJ銀行といったメガバンク日立製作所などもコース別採用に力を入れ始めている。

ソニーグループではほかにも、2021年6月に採用オウンドメディア「Discover Sony」を立ち上げ、ソニー社員へのインタビューなどを通じて、同グループの多様な事業、働き方やカルチャーを伝える記事を発信している

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