白浜・椿地区の防災考える 避難所運営を体験

避難所運営を体験する参加者(16日、和歌山県白浜町椿で)

 和歌山県白浜町椿の旧椿小学校などで15、16日の2日間、避難所運営体験や津波避難訓練などを通して椿地区の防災を考えるワークショップがあった。県内外から47人が参加し、孤立する可能性の高い地域での実現可能な自助、共助について話し合った。

 一般社団法人災害対策トレーニングセンター支援会の主催。日本に1万5千近くあると言われている孤立集落の人々が、迫り来る災害に対して、どう考え、行動するかを体験するプログラムで、千葉県、静岡県など全国各地で開催している。椿地区では今回初めてで、来年度も開催を予定している。

 支援会は、東京大学生産技術研究所付属災害対策トレーニングセンター(DMTC)を支援する団体。災害対策に関する研究を進めるとともに、行政、企業・団体、地域住民などの防災対策に貢献することを目的に活動している。

 椿地区は昨年9月末現在、人口535人、高齢化率61.5%、平均年齢66.18歳。20歳以下の住民は約10人と少子高齢化が著しく進行。南海トラフ巨大地震では、沿岸部で津波の来襲が想定されている。

 参加者は初日に椿地区を巡り、住民から防災の話を聞いたり、地形を見学したりした。2日目は避難所運営の体験などをした後、8班に分かれ、今後の椿地区の防災について話し合うワークショップに参加した。

 ワークショップで、ある班は、住民の防災意識をさらに向上させるためには、住民同士の交流を深め、情報を共有する必要があると指摘。餠まきなど、みんなで楽しめるイベントと一緒に防災訓練を実施する提案もあった。

 参加した同町椿の漁師、井澗才次さん(72)は「地震が起きたらどう行動するか話し合っておくことが大事だと思った」と話した。

 講師を務めた東京大学生産技術研究所防災プロセス工学の沼田宗純准教授(46)は「今回のプログラムで気づいたことを踏まえて、災害に備えてもらいたい」と呼びかけた。

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