ウェンバンヤマが大忙しのオールスター・ウィークエンドへの想いを語る「特別な経験になるのは間違いない」<DUNKSHOOT>

今シーズンのNBAの大注目ルーキー、ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)は、今週末、初めてオールスター・ウィークエンドを体験する。

2023年ドラフトで1位指名を受けたウェンバンヤマは、ファン、コーチ、いずれの投票においてもメインイベントのチームには選出されなかったが、「もちろん、選出されることは大きな達成感ではあるけれど、今はそれより試合に勝つこと、チームとともに成長することを考えている」と、本人は彼らしい地に足のついたコメントを発している。

かのレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)も、ルーキーイヤーの2003-04シーズンはメンバーに選出されていないが、翌2005年からは連続で出場している。

ちなみに、直近でオールスターに選ばれたルーキーは、2010-11シーズンのブレイク・グリフィン(当時ロサンゼルス・クリッパーズ)だ。その前はヤオ・ミン(2002-03シーズン/当時 ヒューストン・ロケッツ)、ティム・ダンカン(1997-98シーズン/当時サンアントニオ・スパーズ)、グラント・ヒル(1994-95/当時デトロイト・ピストンズ)、シャキール・オニール(1992-93シーズン/当時オーランド・マジック)と遡っていく。

とはいえ、ウェンバンヤマのオールスター・ウィークエンドは大忙しだ。金曜にはライジングスターズに出場。そして土曜には、スキルズチャレンジにも参戦する。
元NBA 選手がそれぞれのチームの選手を選出するスタイルとなった現行のライジングスターズで、ウェンビーはスペインが生んだレジェンド、パウ・ガソル(元レイカーズほか)のチームで出場。注目は、チームメイトに同じフランス出身の盟友ビラル・クリバリーがいることだ。

2023年ドラフトでインディアナ・ペイサーズから7位指名を受け、譲渡先のワシントン・ウィザーズでNBAデビューしたクリバリーとは、フランスの世代別代表や、アメリカ挑戦前に所属したメトロポリタンズ92でも共闘した相棒。スモールフォワードのクリバリーとウェンバンヤマの相性は抜群で、2人のコンビプレーで何度となくアリーナを沸かせると、国内リーグ準優勝という好成績とともに、フランス最後のシーズンを終えたのだった。

そしてコートを離れれば、同じ目標に向かって突き進む親友という間柄だ。

身長203cmのクリバリーは、運動能力が高く、攻守両面で複数のポストを賄える汎用性も魅力で、コート上で絶妙にバランスをとる黒子的な動きも得意とする。今シーズンは1試合を除き全試合に出場し、平均26.9分のプレータイムで8.3点、4.1リバウンドと、なかなか安定した数字を記録。現地時間2月9日(日本時間10日、日付は以下同)のボストン・セルティックス戦では21得点に8リバウンドと、ダブルダブルにあと一歩まで迫る活躍も披露した。

同志との久々の共闘は、彼ら2人にとって思い出に残るイベントになることだろう。
そしてスキルズチャレンジでは、ウェンバンヤマは“ドラ1チーム”の1人として、アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ/2020年)、2年連続出場となるパオロ・バンケロ(オーランド・マジック/2022年)とともに参戦する。

対戦するのは、開催地がホームタウンのインディアナ・ペイサーズからタイリース・ハリバートン、ベネディクト・マザラン、マイルス・ターナー組。チーム・オールスターズからはスコッティ・バーンズ(トロント・ラプターズ)、タイリース・マキシー(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)の組だ。

パス、ドリブル、シュートのスキルを競うこのイベント。以前は個人対抗だったが、最近はチーム戦になった。
かつてはスティーブ・ナッシュ(2005、10年/当時フェニックス・サンズ)やデロン・ウィリアムズ(2008年/当時ユタ・ジャズ)、ステフィン・カリー(2011年/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)らガード勢の独壇場だったが、近年は2016年のカール・アンソニー・タウンズ(ウルブズ)やバム・アデバヨ(2020年/マイアミ・ヒート)、ドマンタス・サボニス(2021年/当時ペイサーズ、現サクラメント・キングス)など、ビッグマンの活躍が目立つ。

ボールハンドリングやシューティングの得意なビッグマンが活躍する、現在のNBAを象徴しているようだ。

そしてウェンビーも、”ガード並のボールスキルを持つ”と称賛されるビッグマンの1人。

「特別な経験になることは間違いない」と意気込む彼は、初めて参加するこの祭典で、どんなパフォーマンスを披露するだろうか。

文●小川由紀子

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