【岩本輝雄】先発総入れ替えのフロンターレ、なぜヴィッセルに勝てた?「俺らがやってやるよ!」という気概をひしひしと感じたよ

シーズンの幕開けを告げる「FUJIFILM SUPER CUP」。今年はヴィッセルとフロンターレが対戦して、フロンターレが1-0で勝利した。

国立に集まった5万人以上のファン・サポーターも楽しめたんじゃないかな。攻守の両局面でスピーディだったし、一つひとつのバトルも見応えがあった。

ヴィッセルはとにかくシンプルだったね。マイボールにしたら、こねくり回さずに相手の両脇を狙ってロングボールを入れる。無駄がなくて、効果的な攻撃だったと思う。実際、大迫が前半にビッグチャンスを迎えたし、あれを決めていれば、また結果は違っていたかもね。

フロンターレは強度の高い守備で対抗。攻撃では持ち前のパスワークに加えて、鋭い仕掛けも見られた。そして後半が始まってすぐに、セットプレーの流れから新戦力の際がワンチャンスをモノにした。

フロンターレは4日前にACLで山東泰山と敵地で戦って、3-2で競り勝った。この試合から、ヴィッセル戦ではスタメンを総入れ替え。どうなるんだろうと思って見てたけど、戦力は全然落ちていなかったね。

主力組と控え組。そういう分け方はできないと思うけど、それでもヴィッセル戦の先発メンバーからは「俺らがやってやるよ!」という気概が感じられた。山東泰山戦と合わせて、“主力組で2チーム分”を作れると言ってもいいかな。

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途中出場の選手も強烈。日本代表の三浦をはじめ、マルシーニョ、橘田、瀬川、山本とタレントがずらり。マルシーニョが自慢のスピードで酒井をブッち切ったシーンもあったけど、後半の途中でああいうシーンを作れてしまうんだから。選手層は分厚いよ。

いずれにしても、これから始まるJリーグに期待感を高めてくれるような好ゲームだった。リーグを代表する両チームの戦いぶりから、今季は全体的に縦に速く、スピーディなサッカーが増えるのかな、という印象を受けた。まさに世界のトレンドだよね。

チーム数も20に増えたJ1。どんな戦いが繰り広げられるか。今から楽しみだよ。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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