『ドラえもん』の予言? スマホからAI通訳機まで…現実になった「ひみつ道具」たち

「ひみつ道具」ってどれぐらい実現したのでしょうか…? ※画像はイメージです(MuhammadFadhli/stock.adobe.com)

生きている中で悩みや問題に衝突すると、つい「ドラえもんがいれば」と現実逃避することってありませんか? 藤子・F・不二雄先生(以下、F先生)による代表作『ドラえもん』は国民的アニメでもあり、作中に登場する「ひみつ道具」は不可能を可能にしてくれるアイテムばかりで、「現実に存在していたら」と想像した人も少なくないでしょう。

しかし気づいてみれば世の中の科学技術は日に日に進化していき、私たちの身の回りにはひみつ道具に近いアイテムが誕生しています。そこで今回は「すでに実現しているドラえもんのひみつ道具」をご紹介します。

オコノミボックス

てんとう虫コミックス19巻に登場した「オコノミボックス」は「四角い物なら何にでもなる」というひみつ道具です。たとえば「〇〇になれ」と命令するだけで、テレビやレコードプレイヤー、インスタントカメラといったものに変化します。

完全再現とまではいきませんが、現代人の必需品であるスマートフォンもオコノミボックスに近い機能が備わっています。静止画や動画の撮影はもちろん、音楽や映画鑑賞などもおこなえるため、「オコノミボックスが実現した」といっても過言ではないでしょう。何よりも昭和の時代に、スマホに近いオコノミボックスを思いついたF先生の想像力に脱帽です。

ほんやくコンニャク

また2017年に発売されたAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」をアレンジした、「ポケトークS ドラえもんEdtion」が2019年に登場。さらに2020年に、食べればどんな言葉でも通じるようになる「ほんやくコンニャク」(初登場はコミックス12巻)をモチーフにした同機のケースも発売され、「21世紀のほんやくコンニャク!?」として注目を集めました。

同機は世界74言語に対応しており、「言葉の壁」をなくしてくれる優れものですが、ほんやくコンニャクは宇宙人との会話も可能なので、完全再現までの道のりは、まだ遠いようです。

インスタントテレビ局/ミニテレビ局

先ほども触れたスマホの普及によってSNSを利用する人も増えましたが、今の時代では誰でも簡単に文章や動画を発信できます。ひみつ道具の「インスタントテレビ局」「ミニテレビ局」(コミックス11巻に登場して特に呼称なし、名称はアニメ版のもの)も日本中のテレビに、自宅で撮影した映像を映し出すことが可能です。

使い方はテレビの上に乗せるだけで、後は同機に映ったものが指定された範囲のテレビに映し出されます。これは今でいうところの「YouTube」や「生配信」とほぼ同じで、国内だけでなく世界中にも動画を発信できるため、同機の機能よりも優れたコンテンツといえるでしょう。

セルフ将棋

ここまで取り上げたのは「ひみつ道具に似たアイテム」でしたが、中にはコミックス第11巻に登場した「セルフ将棋」をそのまま開発した強者も。

2014年に富士ゼロックスが実施した「四次元ポケットPROJECT」では、6社の企業連携によってセルフ将棋が誕生しました。そもそもセルフ将棋とはコンピューターが相手となって、1人で将棋を遊ぶことができるひみつ道具です。

実際に制作された同機は対人での将棋の勝負を可能にしたのはもちろん、見た目も原作通りの仕上がり。機体に備わったアームが、自分の意思で駒を表から裏にひっくり返す動作は圧巻です。

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これからも続々と開発されるであろう、ひみつ道具と同等のアイテムやガジェット。いつの日か、「タイムマシン」や「どこでもドア」といった現実離れしたひみつ道具が誕生することはあるのでしょうか。

(海川 まこと/漫画収集家)

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