殿堂入り最終候補に挙がったカーターが長くキャリアを続けた理由は“バスケへの愛”「プレーするのが大好きなんだ」<DUNKSHOOT>

現地時間2月16日(日本時間17日、日付は以下同)、NBAオールスター2024の開催地インディアナ州インディアナポリスにて、ネイスミス・メモリアル・バスケットボール・ホール・オブ・フェイム(以降、殿堂)が今年の殿堂入り最終候補を発表した。

昨年12月21日に公開された殿堂入り候補には、ヴィンス・カーターやビル・レインビア(元デトロイト・ピストンズほか)が初ノミネートされ、29日にはアンファニー・ハーダウェイ(元オーランド・マジックほか)、ウォルター・デイビス(元フェニックス・サンズほか)が追加候補に選出。

そしてこの日発表されたファイナリストには、カーター、デイビス、マイケル・クーパー(元ロサンゼルス・レイカーズ)、チャンシー・ビラップス(元ピストンズほか/現ポートランド・トレイルブレイザーズ指揮官)を含む計14人が名を連ねた。
1998年のドラフト1巡目5位でゴールデンステイト・ウォリアーズから指名されたカーターは、当日に大学時代の同僚アントワン・ジェイミソンとのトレードでトロント・ラプターズへ移籍。ルーキーイヤーに平均18.3点、5.7リバウンド、3.0アシスト、1.1スティールをマークして新人王に輝くと、翌1999-2000シーズンから平均20.0点以上を叩き出し、8年連続でオールスターへ選出されるなどリーグを代表するスター選手となった。

2000年のスラムダンク・コンテストでは“逆回転ウインドミル”や“エルボーダンク”など次々と大技を繰り出してチャンピオンに。同年夏のシドニー・オリンピックでは“人間超えダンク”で世界中を沸かせ、チームトップの平均14.8点をあげてアメリカの金メダル獲得に貢献している。

198cm・100kgのスウィングマンはラプターズを皮切りに、ニュージャージー(現ブルックリン)・ネッツ、オーランド・マジック、ダラス・マーベリックスなど計8チームに籍を置き、NBA史上最長の22シーズンをプレーしたのち43歳で現役を引退。

殿堂入りのファイリストに選ばれたカーターは「信じられないよ。ここに集まった人たちを見てみなよ。殿堂入りした人たちばかりさ。それに勝るものなんてないよ。誇らしい瞬間だね。今の僕は『その機会を手にしたんだ』と言える」と喜びを語っていた。
キャリア22シーズンでNBA歴代3位の1541試合に出場し、同9位の2290本の3ポイントを沈めて同20位の2万5728得点を記録したカーター。一方で優勝経験はなく、キャリア最後の6シーズンはいずれも平均1桁得点に終わった。

しかしカーターは純粋にバスケットボールが好きで、キャリア晩年に自身のスタッツを気にすることはなかったという。
「僕はプレーするのが大好きなんだ。それが何よりも大事であって、数字は関係なかった。引退する5年前に『どうしてまだプレーするんだ?』『それじゃ(得点の)アベレージが落ちていくだけじゃないか』と聞かれたんだけど、僕は『今でもプレーすることが大好きなんだ。そこが僕にとって大切なんだ』と言ったんだ」

今年の殿堂入りメンバーは、4月6日にアリゾナ州フェニックスで行なわれるNCAAトーナメントのファイナル4(準決勝)期間中に発表される。バスケットボールを心底愛し、1990、2000、2010、2020年代と、4つのディケイドでプレーしたカーターは、殿堂入りという称号にふさわしい選手ではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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