袴田巌さん再審公判 最大の争点・5点の衣類は犯行着衣か 検察「弁護団の実験は根拠を欠く」弁護団「赤みが残るという主張は希望的観測」

いわゆる袴田事件の再審やり直し裁判は、静岡地裁で9回目の公判が開かれました。最大の争点・弁護団がねつ造だと訴える
5点の衣類について検察は付着した「血痕の赤みは残る」と強調しました。

袴田巌さん(87)は1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人を殺害したなどとして、死刑が確定しています。

船引とわ記者:
「検察側が最大の争点血痕の色について立証する方針で、ひで子さんの表情も引き締まって見えます」

再審の最大の争点は、事件発生から年2カ月後にみそタンクの中から見つかった、赤い血痕が付着している5点の衣類が、袴田さんの犯行着衣かどうかです。

弁護団はこれまで1年2カ月もみそに漬かった状態では血痕の赤みは消えるとして、「捜査機関がねつ造したもの」と主張してきました。

検察「弁護団の実験は根拠を欠いている」

これに対し検察側は赤みが残る可能性があるとする法医学者7人による共同鑑定書を証拠として示しました。

嶋田光希アナウンサー:
「検察側は5点の衣類の血痕について照明などの観察条件で見え方は異なると主張し、弁護側の赤みが残らないとする根拠は不十分と否定しました。ひで子さんは検察の主張に対し、表情を変えずにじっとモニターを見つめていました」

また検察が行ったみそ漬け実験の結果をモニターに示しながら「同じ条件下でも色の見え方に差がある」と主張。

弁護団の実験や専門家の意見は「根拠を欠いている」などと否定しました。

その上で5点の衣類が犯行着衣であるという事実認定は、揺るがないと改めて主張しました。

弁護団「赤みが残るは希望的観測」

これに対し弁護団は、検察の共同鑑定書について「赤みが残るというのは希望的観測にとどまり、抽象的。我々の結論を左右するものではない」と反論しました。

血痕の色合いについては、来月25日から3日連続で法医学者らの証人尋問が行われる予定です。

ひで子さん

ひで子さん
「一日がかりでね午後4時ごろまで検察の冒頭陳述があったんですよ。間先生が1時間弱でスパッと反論しちゃった。検察庁は警察の都合でこういうことをしていると思う私は。警察の都合でやっていると思うからしょうがないにしてもきょうは長々と冒頭陳述をうかがいました。そういうわけできょうは大変小気味良く過ごしました」

小川弁護士

弁護団主任弁護人 小川秀世弁護士
「赤みが残る可能性があれば別に矛盾はしないんだと。5点の衣類が1年2カ月前に入れられた。1年2カ月間みそに入っていたということと矛盾しないんだと。そのくらいの意味しかないんだと。色が矛盾しなければいいんだという言い方で逃げたんですね結局。そういうことが私は一番重要だと思う」

検察は

一方、検察は「弁護側の鑑定結果は科学的に見て間違いだ」ということを3月の証人尋問で明らかにしていくとしています。

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