川崎のキャプテンとして歓喜のトロフィーを掲げた瀬古樹。努力を重ねてきた男の感慨深い姿

[FUJIFILM SUPER CUP 2024]神戸 0-1 川崎/2月17日/国立競技場

2月17日、シーズンの開幕を告げるFUJIFILM SUPER CUPが国立競技場で開催され、天皇杯王者の川崎が、J1王者の神戸を1ー0で下した。

決勝点を奪ったのは川崎の新戦力SBのファンウェルメスケルケン際だ。47分、FKのチャンスから相手のクリアをブロックると、そのボールがゴールに吸い込まれた。

その後は神戸もチャンスを作ったが、川崎が最後まで集中した守りを見せ、勝利を掴んだ。

この一戦、アウェーの中国でのACLラウンド16第1戦(山東泰山に3-2で勝利)から中3日で迎えた川崎は、スタメンを総入れ替え。

そのなかでキャプテンマークを巻いたのが所属3年目、26歳の瀬古樹だ。

2022年に横浜FCから川崎に加入した瀬古は今季は副キャプテンに就任。神戸戦は新キャプテンの脇坂泰斗がメンバーから外れたため、腕章を託されたのだ。

瀬古は4-3-3のインサイドハーフとしてチームを操りながら、後半にはポスト直撃の惜しいFKも披露。ファンウェルメスケルケンのゴールも彼のプレースキックから生まれている。

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瀬古と言えば、加入当初はなかなか出場機会を得られず、それでも「腐っているなんてありえない」と、コツコツ努力を続け、ポジションを掴んできた選手だ。

その歩みを振り返れば、キャプテンマークを巻き、トロフィーを掲げた姿は実に感慨深いものがあった。その話を彼に向ければ、こう返ってくる。

「メンバーが入れ替わり、今日も正直思うような自分の感覚ではなかった面はありました。ACLに重きを置いている部分もあると感じるなかで、そこに入れていない悔しさもあります。

ただ今日、こういう試合で結果を残せたのは、ポジティブです。カップを掲げる経験は限られた選手しかできませんし、それを経験できたのはサッカー選手としてひとつ良い思い出になりました。

自分がフロンターレでそれができるとは思っていなかったので、そこは素直に嬉しいです」

中盤のレギュラー争いは激しく、これからも続いていく。それでも自ら成長できるチャンスだと捉えるのが瀬古という選手である。

今回の経験を通じてさらに飛躍する彼の姿に期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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