【フェブラリーS】能力値上位の4歳馬オメガギネス、ドゥラエレーデが有力 穴馬はペプチドナイル

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3週連続で推奨馬が好走中

2024年2月18日に東京競馬場で開催されるGⅠ・フェブラリーS。ここではパワーポイント指数(PP指数)による能力値1~5位にランクインする有力馬や、注目の穴馬について、近走の内容を振り返りながら紹介、評価していく。

能力値1~5位の紹介

【能力値1位 キングズソード】
デビューからダ1800mを2戦使われ、じわっと逃げる競馬。ところがデビュー3戦目のダ1400m・1勝クラスでは、テンに置かれて後方からの追走となってしまい、6着と崩れた。以降はダート中距離を使われ、着実に力をつけていくことになった。

前々走のダ2000mのJBCクラシックは自身にとって初距離だったが、JpnⅠの舞台で初重賞制覇を達成。同レースは9番枠から五分のスタートだったが、楽な手応えで先行策。道中は3列目の外を追走し、3~4角のペースダウンで外から押し上げ、4角で仕掛けながら3番手で直線へ。序盤ですっと伸びて残り300m付近で一気に先頭。そこから後続にどんどん差を広げて4馬身差で圧勝した。

前々走はとても強く、潜在的なスタミナの豊富さを感じさせる内容だった。前走の東京大賞典では、休養明けでJBCクラシックを激走した疲れが残って、最後の直線ではジリジリとしか伸びずに敗退したが、大きくは崩れなかったように能力は高い。ただ、今回はダ1600mが舞台。スタミナを生かし切るためになるべく前に行きたいところだが、そう簡単なことではない。今回は距離に対応できるかどうかがカギとなる。

【能力値2位 ドンフランキー】
3走前のプロキオンSで重賞初制覇を達成した馬。同レースでは7番枠からまずまずのスタートを切って、楽に内に切り込みながらハナを主張。ただ外からメイショウテンスイが競り掛けてきて、ペースを落とさず、かなり押して3角へ。3~4角は最短距離から淡々と進めて1馬身半のリードで直線へ。序盤で追われても手応えが悪かったが、他馬も甘くなり、唯一リメイクだけが1馬身半差まで詰め寄ってくる。ラスト1Fでもうひと踏ん張りし、食らいつくリメイクをクビ差振り切った。このレースでは3着馬に6馬身差を付けており、圧巻の内容だった。

前々走では休養明けのプロキオンSで自己最高指数を記録した疲れで、負かしたリメイクに2馬身半差を付けられてしまった。しかし、前走の東京盃では巻き返しV。このレースでは12番枠で、内からハナを切ったギシギシに競り掛けて先手を主張したが、内のジャスティンに抵抗され、3~4角では前に出られ、半馬身差の2番手で直線へ。序盤ですっと伸びて先頭に立つと、ラスト1Fで食らいつくリュウノユキナを振り切って1馬身差で完勝した。

前走は砂を入れ替える前の砂厚8cm(現在は10cm)の大井で不良馬場。外が伸びる馬場でもあったが、前後半3F34秒2-35秒8のハイラップを刻んでのレコード勝ちは好評価できる。またテンはそこまで速くはないが、淡々とレースを進めて押し切る快速ぶりから短距離指向が強いと言える。前走から2Fの距離延長で良馬場となると評価が下がる。また軽度ではあるが骨折による休養明けで、次走のドバイが大目標となると狙いにくい。

【能力値3位 ウィルソンテソーロ】
地方交流重賞で地道に力をつけ、前々走のGⅠ・チャンピオンズCでも2着と好走した馬。前々走は7番枠から出遅れて後方内目を追走。道中でじわっと内目のスペースを拾って3角へ。3~4角では後方馬群の中目を通して外に誘導。直線序盤で軽く追われてさらに外へ。序盤の伸びはやや地味だったが、ラスト1Fではグングン伸びて逃げ粘るレモンポップに1馬身1/4差まで迫った。

前々走はやや流れが速く、内目が有利な展開。後方から3~4角でロスを最小限にして、直線で外に持って行けたのが好走要因。直線でもっと外に出せていれば進路取りがスムーズで理想的ではあったが、ここでもたつきを見せていたために外に出し切れなかった。ラスト1Fで前がやや甘くなったところを差しており、この時点ではレモンポップはもちろん、2番手でレースを進めたドゥラエレーデの方が強いという評価だった。

しかし、前走の東京大賞典では9番枠からまずまずのスタートだったが、じわっとハナを主張して奇襲の逃げ。ラスト1Fで甘くなったところをウシュバテソーロに交わされての2着だったが、逃げて結果を出したのは意外だった。前走は前が有利な流れではあったが、それまで逃げたことがない馬が逃げて善戦するのは簡単なことではない。また、本馬は1500mのかきつばた記念も優勝しており、マイル戦もこなせる。今回は中団からの追走になる可能性が高いが、最後の直線で上手く捌ければチャンスがある。

【能力値4位 ドゥラエレーデ】
初ダートの未勝利戦で2番手外から3角で先頭に立ち、3着馬に大差をつけて、1クラス上の指数で勝利。UAEダービーではダート2戦目ながら、内から楽々とハナを主張したデルマソトガケの外2番手を追走し、2着に善戦した。同レースでは3角過ぎから徐々にデルマソトガケに離され、5馬身半差の完敗だったが、同馬は後のBCクラシックで2着に入ったほどの馬。3着馬に4馬身半差、4着馬にはさらに3馬身半差をつける強い内容だった。その4着馬はオメガギネスが勝利した昨秋のグリーンチャンネルCの3着馬ペリエールである。

昨年のチャンピオンズCでは、さらなる成長を見せて3着に好走。同レースでは5番枠から五分のスタートだったが、しっかり促されて先行策。外のレモンポップが内に切れ込むと、その外に誘導して2番手を確保。道中は同馬をマークし、3~4角で軽く仕掛けて同馬と半馬身差で直線へ。序盤でレモンポップに差を広げられたが、内から迫るテーオーケインズを退け、最後は外からウィルソンテソーロに差されて1馬身1/4差+クビ差となった。

前走の東京大賞典では3着。ここでは休養明けのチャンピオンズCで好走した疲れが出ていたようで、スタート後にややのめってしまう。そこから立て直してハナを主張して行ったが、外からウィルソンテソーロを行かせて2番手の外を追走。3~4角のペースアップで置かれ、直線ではジリジリ差を詰めたが、外からウシュバテソーロに一気に交わされ、ウィルソンテソーロにクビ差まで迫ったところでゴールだった。

前走はウィルソンテソーロにクビ差で敗れたが、状態面が万全ではなかったせいか、道中でコントロールし過ぎた感がある。ウィルソンテソーロにもっとプレッシャーをかけて行けばまた違う結果になっていた可能性が高いが、当時の状態が、鞍上にそう判断させたのかもしれない。よって、今回は巻き返して来る可能性が高い。

当初は本命予定だったが、今回は4番枠と内枠。勝負所ですっと動ける器用さがないだけに、この枠だと内目で包まれてしまう危険性がある。これまでのダートレースのように、上手くドンフランキーの外2番手に出していければベストだが、マイル戦だとその位置は楽に取れない。また休養明けで距離延長のドンフランキーは逃げない可能性もあり、そこが悩ましい。

【能力値5位 オメガギネス】
デビュー2戦目で2勝クラス通用レベルの指数を記録し、3戦目のレパードSはクビ差の2着、そして4戦目の前々走グリーンチャンネルCでは今回のメンバーでも勝ち負けできる指数で圧勝した素質馬。同レースは9番枠からやや出遅れたが、二の脚ですっと先行。そこからはやや掛かり気味だったが、コントロールして2列目の外。3~4角でややペースが落ちても我慢させ、直線序盤に馬なりで先頭列に並びかける。ラスト1F手前で追われて先頭に立つと、そのまま突き抜けて3馬身半差で完勝した。

前走の東海Sでは2着。スタミナが不足しがちな休養明けで、前々走から1Fの距離延長。10番枠からやや出遅れ、そこからじわっと出して行くと、1角から向上面半ばまで掛かり気味でコントロールに苦労。結果、3角で先頭に立ったウィリアムバローズと一緒に直線を迎えたが、最後に甘くなって1馬身差で敗れた。

デビューから前々走までメンバー最速の上がり3Fタイムを記録しているように、末脚を生かしてこそ。また、折り合いに課題があるので1800mよりも前々走圧勝のマイルがベストだろう。ただ折り合い難タイプにルメール騎手が乗ると、勝ちに行き過ぎる競馬をすることがあるので、そこは減点材料。上手く折り合いをつけて差す競馬なら上位争いが見込める。ここまでキャリア5戦の4歳馬だけに、さらなる成長も期待できる。一応の本命候補としたい。

【能力値5位 イグナイター】
昨年のJBCスプリントでリメイクを相手に完勝した地方競馬のエース。前走は8番枠からまずまずのスタートを切り、そこから押して押して5頭並走の先行争い。しつこく前を主張して逃げ馬ラプタスの外から3角へ。3~4角でも楽な手応えで積極的にラプタスに絡み4角では同馬とクビ差。直線序盤で早々と先頭に立つとしぶとく粘り、ラスト1Fで外から伸びるリメイク、リュウノユキナを振り切って1馬身半差で完勝した。2着リメイク、3着リュウノユキナは道中でカラ馬に絡まれる不利があったが、タフな馬場で前後半3F34秒4-37秒6の速い流れを勝ちに行って勝利したことは評価できる。

しかし、盛岡の高速馬場で行われた一昨年のマイルCS南部杯でも、2021~22年のフェブラリーS覇者カフェファラオと0秒2差(4着)に好走しているように、高速馬場のマイル戦もダメだとは思わないが、ベストはタフな馬場のスプリント戦だろう。また、今回は前走で自己最高指数を記録した後の休養明けの一戦。疲れを取るために休養させたのだろうが、万全の状態ではないはず。地方馬にはがんばって欲しいところではあるが、割引が必要だ。

【能力値5位 レッドルゼル】
昨年のフェブラリーS2着馬。同レースでは15番枠から好スタートを切ったが後方待機。前半はかなりペースが速かったが、後方で脚を温存し、3~4角でペースが落ちたところで、コントロールして中目を通し、4角出口で外に誘導して勢いに乗せながら直線へ。序盤で中団まで上がり、ラスト2Fでは一気に2列目を交わし単独2番手に上がって、先頭のレモンポップとは1馬身3/4差。ラスト1Fで甘くなって最後は詰め切れず、結局、1馬身半差だった。

2021年のフェブラリーSでは4着、22年は6着。過去2年は内有利が顕著な馬場を外から差す競馬で敗れた面がある。また、22年は好位のカフェファラオを目標に動いていく早仕掛の競馬であった。ちなみに、本馬は初ダートの未勝利戦で逃げて大差勝ちして以来、しばらく先行する競馬をしていたが、2020年のプロキオンSで8着に敗れ、そこから差す競馬で重賞を突破したという経緯がある。

また、前走の武蔵野Sは3~4角で外を回るロスもあったが、出遅れを挽回するのに脚を使ったことが、最後の甘さに繋がっている。このことからも昨年のフェブラリーSは後方待機策で展開に恵まれ、最高の走りができたと言える。さらに今年は昨年よりも好メンバーが揃っている。今回は始動戦で、目標はドバイゴールデンシャヒーンである可能性も考えると割引が必要だ。

穴馬は昨夏の大沼S、マリーンSを好指数で連勝したペプチドナイル

ペプチドナイルは昨夏の大沼S、マリーンSを今回のメンバーで勝ち負けできる指数で連勝した馬。大沼Sは10番枠からまずまずのスタートだったが、そこから押して内に切れ込みながらハナを主張。2角過ぎで手綱を抑えてペースを落とすと、ここで外から一気にボイラーハウスに捲られたが、内から抵抗して同馬を交わす。しかし、そこで今度は内からディアセオリーに前を取られたが、3~4角では楽な手応えで同馬と並走。直線序盤から2頭で後続を離し、ラスト1Fでクビ差ほど先頭に立つと、そこからしぶとく抜け出して3馬身で完勝した。

その次走のマリーンSは、10番枠から五分のスタートを切って、かなり押して外から競ってくるウェルドーンを制してハナを取り切る。向正面ではコントロールしてややペースを落とし、2馬身のリードで3角へ。3~4角で外から各馬が上がってくると、そこで後続を引き離し、再び2馬身のリードで直線へ。序盤で3馬身ほど差を広げ、ラスト1Fでもしぶとく伸びて3馬身半差でゴールした。

前々走のベテルギウスSでも2列目の内でレースを進めて勝利しているように、復調気配を見せている。自らレースが作ることができ、捲られても対応できる強さ、折り合う競馬にも対応できるのは強み。前走の東海Sはペースが上がらず、好位の中目でコントロールに苦労して不発。ペースが速くなるマイル戦なら折り合いもつくだろう。ここでの一発を期待する。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)キングズソードの前走指数「-29」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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