【バレーボール】サントリーのアライン、日本国籍を取得 | パリ五輪代表候補に名乗り

2023年アジアクラブ選手権でプレーするデアルマス アライン=アジアバレーボール連盟公式サイト・フォトギャラリーより

バレーボール男子・Vリーグ1部のサントリーサンバーズが2024年2月14日、同チームに所属するデアルマス アライン(22)が2月1日付けで日本国籍を取得したことを発表した。アラインはキューバ出身のアウトサイドヒッターで、攻撃力が持ち味。サントリーサンバーズの昨季の準優勝と2023年末に行われた世界クラブ選手権で、日本男子史上初の銅メダル獲得に大いに貢献した。(Pen&Sportsコラムニスト・中西美雁

22歳、アウトサイドヒッター

これまでアラインはいわゆる「B枠」の帰化が見込まれる選手として、国内リーグでは日本人選手と同じ扱いでプレーしていた。国際大会には日本代表としては出場できなかったが、過去に行われた日本代表による紅白戦には出場し、高い決定力を見せていた。

来季からスタートするSVリーグでは、外国人枠がこれまでの1枠プラスアジア枠1だったものが、2枠プラスアジア枠1となる。アラインは当然、日本人選手の扱いであるため、サントリーがどのような補強を行うかが楽しみとなる。

男子日本代表はすでに2023年のワールドカップでパリ五輪出場を決めている。この大会にアラインは出場していないが、2024年度の代表選手に選出された場合、6月に行われるネイションズリーグ(VNL)にも出場が可能となり、12名の選考に残ればパリ五輪にも出場が可能となる。

日本代表のアウトサイドヒッターには主将の石川祐希、髙橋藍、大塚達宣、富田将馬、高梨健太、甲斐優斗、2年ぶり代表選出となった柳田将洋らがいるが、さらにそこにアラインが加わることになり、アウトサイドヒッターの五輪出場の選考は熾烈を極めることとなりそうだ。

キューバ出身、都城東高校に留学

アラインは、キューバのハバナ出身で10歳のときに父や学校の先生に勧められてバレーボールを始めた。2014年から2016年にかけてキューバのジュニア全国選手権で3連覇を達成し3大会ともMVPを受賞する活躍で、アンダー16にも選出された。しかし189cmと代表選出された中で一番身長が低かったため、キューバ代表としてレギュラーをつかむのは困難だった。

本人もそのことを承知しており、低身長でもチャンスのある日本への留学を決断し、2017年に宮崎県の都城東高校に進学。都城東は同年、男子バレーボール部を創設し、元日本代表の泉水智さんが監督に就任した。元キューバ代表のコーチもいた。

アラインは3年時、創部3年目にして初の全国大会(インターハイ)に出場、高校卒業後の2020年、サントリーサンバーズに入団した。しかし、サントリーサンバーズにはロンドン五輪の金メダリスト、ドミトリー・ムセルスキー(ロシア / 身長218cm)が所属しており、外国人選手枠は1つだけだったため、アラインはこのシーズンはVリーグに出場できなかった。

2021-22シーズンは、アラインが20歳になり、サントリー所属期間も1年を満たしたため、同チームの「B登録外国籍選手」(B枠)としてVリーグに登録された。このシーズンはムセルスキーがドーピング違反の制裁として2021年末まで公式試合の出場不可となった。ムセルスキーの代わりに2021年末までの契約をしたバロッティ・アルパッド(ハンガリー / 身長206cm)もVリーグの規約により出場できなかったため、ムセルスキーが復帰するまで本来のアウトサイドヒッターではなくオポジットとして試合に出場した。

Vリーグ準優勝に貢献

2022年7月、沖縄県で行われた世界選手権を控えての日本代表の壮行試合(紅白戦)に練習生として出場メンバーに加わった。粗削りだが、パワフルなサーブやスパイクに観客は目を見張った。このとき、紅白戦や合宿で一緒だった代表選手たちが世界選手権に向けて出発する中、一人大阪のサントリーに帰らなければならないことを寂しく思っていたことを吐露している。自分も絶対に日本代表として世界と戦いたいと新たに誓った。元日本代表主将で、海外でのプレーから帰国し、古巣サントリーで2年プレーした柳田将洋がジェイテクトに移籍した後、アラインは今季まで2シーズンをアウトサイドとして出場し、昨季はリーグ準優勝、今季は世界クラブ選手権銅メダルに大きく貢献した。

デアルマス アライン 2001年3月4日生まれの22歳。キューバ出身で2020年3月、都城東高校(宮崎)卒、同年4月、サントリーサンバーズ入団。

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