良い関係だったのに…元彼から拒絶された女性の過ちとは

好きだった恋人から振られてしまい、傷ついた心を何とかしたくて「元彼」に頼った女性。

「この人なら私の良さを理解してくれる」と思い込むのは女性の都合であって、元彼は「当時のまま」ではないのが現実です。

今の自分をどう思っているかは決められず、依存しようとすればかえって傷を負う可能性を捨てられないのが「元恋人」の存在。

ある女性が孤独を感じた理由とは、何だったのでしょうか。

「元彼に頼る」女性が孤独になったワケ

友達付き合いはできていた元彼

里佳子さん(28歳)は、2年ほど付き合っていた彼氏に「好きな気持ちがなくなった」と別れを告げられました。

ストレートに好意がないと言われた里佳子さんは、

「すごくショックだったけど、言われてみればここ最近ずっとLINEの返事は遅いしデートも適当だし、大事にされてはいませんでした。

何となく気づいていたけれど私も惰性で付き合っていて、そのときはお互いさまかなと思ったのですが……」

と、突然の別れを受け入れたそうです。

ところが、「時間が経つと『私の何がいけなかったのだろう』と考えるようになって」、里佳子さんは別れた恋人と改めて話そうと思います。

未練ではなかった、と里佳子さんはそのときの自分を振り返りますが、別れた恋人に連絡しようとしたけれどLINEも電話もいつの間にかブロックされており、つながっていたフェイスブックも表示が消えていたそうです。

そこまで拒否されている自分を見てから「本格的に落ち込んだ」里佳子さんは、しばらくひとりで考え込んでいたもののつらさに絶えきれなくなり、別れた恋人の前に付き合っていた元彼の存在を思い出します。

「元彼とは、別れて半年くらい経ってからまた連絡を取り合うようになって、距離はあるけど友達付き合いはできていたというか、たまにLINEでやり取りしたり暇なときに電話したり、普通に接していました」

別れた恋人との交際についても普通に話せていたと話す里佳子さんは、元彼に慰めてもらおうとメッセージを送りました。

元彼から返事が来て、「電話してもいい?」と伝えるとOKをもらった里佳子さんは、飛びつくようにスマートフォンの電話帳を開きます。

違和感を覚えた「元彼」の態度

「元彼はそのとき彼女がいなくて、だから私とも気軽に話せていたと思うのですが、私が『彼氏と別れちゃって』と言ったら驚いたように理由を聞いてくれました。

正直に全部を伝えたら『それはショックだね』と言ってくれて、ほっとしましたね」

里佳子さんが「全部」と言うのは「自分も惰性で付き合っていたこと」で、彼氏の変化に気が付きながらも何もしなかった自分についても、隠さず話したといいます。

それを「そうか」と相づちを打って聞きながら、元彼は「すれ違いだよね、お互いさまだよ」と慰めてくれたそうです。

優しい言葉をかけてくれる元彼に、里佳子さんは「この人なら私のいいところを認めてくれる」と甘えたくなり、

「あなたと付き合っているときは、お互いにおかしなことがあったらすぐ言えてたよね」

と軽い調子で口にします。

すると、元彼はしばらく黙ったのちに

「そうだけど、あのときはね」

と短く返します。

「やっぱり相性ってあるよね、ちゃんと言えなかったのは合わないってことなのかも」

と里佳子さんが続けて言うと、

「相性はあると俺も思うけど、次はいい人と出会えるよ」

と、やっぱり言葉少なに答えたそうです。

「何だか慎重になっているというか、言いづらそうにしていることはすぐに気が付きました。

でも、適当なことを言わないように気遣ってくれているのかもとそのときは思ってしまって」

里佳子さんは、違和感を覚える元彼の様子を特に問いただすこともなく、そのときは一時間ほど話して終わりました。

思い切って元彼に電話すると…

「おかしいなと思ったのは、それからLINEでメッセージを送っても元彼からの返事が遅くなったことです。

お昼休みに何となく『午後もがんばろうね』って伝えても既読がつくだけで、前のようにスタンプを返してくれることもなくて不安になりました」

付き合っていた頃と同じ仕事を続けている元彼の状態を知っているので、忙しいのかもしれない、と心配したそうです。

ところが、夜になっても元彼から返事はなく、思い切って電話をかけるものの出てくれることもなくて、里佳子さんは混乱します。

「今は自分も付き合っている人がいないから、誰に気兼ねすることなく元彼に連絡できるのも、自制心を失った理由かもと今は思います。

何かあったのだろうか、どうしてかけ直してくれないのだろうかって、何も言ってくれない元彼にイライラしていました」

久しぶりの電話から、里佳子さんは元彼とつながることを求めていました。

やっと返事が来て「心配したよ」と送ると、「バタバタしているから相手をできないときもある、ごめん」と返されて、やっと安心したといいます。

でも、その後も里佳子さんからのメッセージや着信にすぐ応えてくれることはなく、やっと「嫌がられている?」と元彼の気持ちを想像したそうです。

元彼に送ってしまったあるメッセージ

気がつけば、2日に一度は元彼にLINEでメッセージを送っていたという里佳子さん。

「最初の電話で、自分を慰めてくれた元彼に甘えていました。

過去に付き合ったことがある人って、自分を理解してくれているってどこかで期待するというか、相手をしてくれるはずって思い込みがあったと思います」

今は冷静に振り返ることができる里佳子さんですが、そのときは今の自分を受け止めてもらうことしか頭にありませんでした。

「もしかして遠ざけられているのかも」と気がついてからは、いきなり電話をかけるのはやめてLINEのメッセージも頻繁には送らなくなりましたが、次に湧いたのは「元彼にまで相手を拒否される自分」へのショックだったといいます。

元彼には元彼の事情があり、言われた通り忙しくて応えるのが難しいのかもしれないけれど、「それにしたって」、失恋して落ち込んでいる自分をもう少し大事にしてくれてもいいのではないか、という不満が里佳子さんを苦しめました。

「やらかしました」と小さな声で里佳子さんが振り返るのは、週末の夜にひとりで部屋にいるとき、寂しさに耐えかねて「眠れないから毎晩お酒を飲んで無理やり横になるの。今日ももう3缶目」と元彼にメッセージを送ってしまったことです。

それは嘘で、自分を心配するなら連絡をくれるはず、という思惑が里佳子さんにはありました。

夜中に近い時間だったけれどすぐ既読がつき、期待した通り、元彼から電話がかかってきます。

思いもよらぬ元彼からの言葉に…

このときも、「すぐ出ると待っていたと思われそうだから、鳴らしっぱなしにして留守電に切り替わるギリギリで出ました」という里佳子さんは、この電話で思いもよらないことを元彼から告げられます。

「大丈夫?」と真っ先に心配してくれることにほっとしながら、里佳子さんは「うん、心配してくれてありがとう」と素直に返しました。

ゆっくり話すのは2週間ぶりで、やっぱりいい人だなと改めて感じたと話す里佳子さんでしたが、元彼は

「落ち着かないのはわかるけど、酒はやめたほうがいい。それと、話すなら男の俺じゃなくて女友達がいいと思うよ」

ときっぱりと口にしたそうです。

「え?」

急な「提案」に里佳子さんが面食らっていると、

「いま忙しくて、今日もさっき帰ってきたばかりで、正直に言えば余裕がないんだ。

LINEとかくれるのはうれしいけど、俺が相手じゃ余計に寂しくなると思うし、君にとってよくないから」

と、元彼は淡々と続けます。

「……」

このとき、里佳子さんははっきりと「警戒されている自分」を感じたそうです。

「眠れなくてお酒を飲んでいる」と送った自分に対してすぐにこんなことを言い出すのは、「これ以上、距離を縮めるつもりはない」というサイン。

里佳子さんの連絡から突然始まった「交流」が、元彼にとっては負担であること、もっと言えば「次の恋愛対象にされるおそれ」の可能性まで、里佳子さんは想像したといいます。

「わかった、今までごめんね」

それだけ言うと、里佳子さんはそのまま電話を切りました。

突きつけられたのは、「自分とはまったく違う気持ちの元彼」という現実でした。

一時は恨む気持ちもあったけれど…

「電話を切ってから、元彼のほうこそ自意識過剰では、とか恨む気持ちが出てきたのですが、振り返ってみると最初の電話から、あの人は私と距離を取っていたのですよね。

自分は元カノだしすぐ仲良くなれる、と無意識に思い込んでいたことに気が付きました……」

そう言ってうなだれる里佳子さんは、元彼に謝りたい気持ちでいっぱいだといいます。

「彼氏と別れたって言われたら優しくして当然じゃないですか。私だってきっと慰めます。

でも、だからって親しくなる理由にはならないというか、距離を詰めたかったのは私だけで、あの人の気持ちを考えていなかったです」

元彼とのつながりを断ち切ってから、里佳子さんは自分の状態を冷静に受け止めることができるようになりました。

それは、元彼に一方的に甘えようとしていた自分を「恥ずかしい」と思うからで、元彼の態度こそ正しい距離の取り方だったと理解しています。

昔の恋人は、新しく出会う人より確かに自分のことをよく知ってくれてはいるけれど、それが「今のふたり」の仲を深める理由とは決してなりません。

お互いに身を置く現実は違っていて、当時のままの気持ちで自分と向き合っているわけではないのですね。

それを忘れて自分の都合ばかり押し付けてしまえば、相手をさせられることに負担を感じた相手は逃げていきます。

どんなときでも、相手の状態や気持ちを確認し、ふたりにとって居心地のいい距離感を探っていく姿勢が尊重になることを、忘れてはいけません。

距離感を間違えれば縁は切れてしまい、かえって孤独が募る結果になります。

過去の恋人であっても「今のつながり」をまずは大切にしたいですね。

失恋の痛みから元恋人に慰めや癒やしを求めて走る人はいますが、相手がその自分をどう受け止めるかは、自分では決められません。

距離を取られていると気がついたときは、自分もまた改めて「この人とどんな関係を望むのか」を考えるのが正解。

負担にならない関わり方を探していくことは、どんな過去があれ今のふたりを大切にする姿勢です。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

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