豊作願う最後の「蘇民祭」 岩手・奥州、千年続く

最後の開催となった「蘇民祭」で、川の水を浴びる男衆=17日午後、岩手県奥州市の黒石寺

 五穀豊穣や無病息災を祈願し、フィナーレで男衆が護符の入った麻袋を奪い合う奇祭「蘇民祭」が17日、岩手県奥州市の黒石寺で開かれた。千年以上の歴史があるとされるが、担い手の高齢化などを背景に、今年が最後の開催となった。

 午後6時、いてつくような寒さの中、下帯姿の男衆たちが境内を流れる川の水で体を清めた後、邪気を正すという意味の「ジャッソー、ジョヤサ」のかけ声を上げながら、境内を練り歩いた。

 祭りのクライマックスは、手にすると無病息災が約束されるという「蘇民袋」の争奪戦。午後10時ごろ、袋が投げ込まれると、男衆らは体から湯気を立ち上らせ、激しく押し合いながら必死の形相で腕を伸ばした。

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