『離婚しない男』小池徹平と伊藤淳史の因縁が明らかに 玉田志織とのただならぬ関係も

司馬マサト(小池徹平)から岡谷渉(伊藤淳史)への異様なまでの執着の理由が明かされた『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(テレビ朝日系)第5話。

なんとマサトと渉は高校時代の同級生だった。優等生だったマサトに勉強を教えてもらうようになった渉はめきめきと成績を上げ、希望の大学に進学を決めた一方、マサトの両親は離婚し母親が自殺、大学進学も諦めることになった。天と地のような環境の違いが彼らを切り裂く。自分のおかげで希望に輝く道に進んでいく渉に、自身の実力以外の要因で夢を諦めざるを得なかったマサト。不幸のどん底にいたマサトからすれば、皆から祝福され幸せに向かって突き進む渉にやり場のない怒りや悔しさの矛先を向ける他なく、それがどんどん憎しみに変わっていったのだろう。そして、自分の人生をガラリと変えてしまうきっかけになったのが両親の離婚であるがために、復讐相手の渉から何もかも奪い取って離婚というダメージを与えたいようだ。

それに渉が気づいていないのは、マサトは名前のみならず顔まで大幅に変えており、別人に生まれ変わっていたからだ。てっきり職業柄、渉にスクープをすっぱ抜かれて恨みを持っているなんて展開かと思いきや、マサトと渉の歴史はもっと過去に渡っていたのだった。

渉に自分の正体や本心に気づいて欲しい、自分のこれまでの苦しみを思い知らせたいし、同じように苦しめることを願うマサトの行動は大胆で予測不能だ。ついに渉に自ら接触し、娘の心寧(磯村アメリ)のことも呼び捨てで呼び、事務所の社長に掛け合い専属契約を決めたこと、さらに綾香(篠田麻里子)と心寧に来年から1年間以上のアメリカ留学を勧めていることなどをペラペラと一方的に話す。渉よりも自分の方が2人の将来への影響度・関与度合が高く、何もかも把握できていると言わんばかりに。そして綾香から渉への不満だとしてあれこれ酷い言葉を連発して浴びせる。

しかし、何がなんでも娘の親権が欲しい渉は養育実績を積み上げるためにもあと1年間は水面下で粛々と離婚準備を進める必要があり、マサトの挑発にも乗らず売り言葉に買い言葉とはならないで落ち着いて対処できていた。

理想の“離婚”シナリオのために今は“離婚できない”渉が、どんどん妻のことを労る理想の夫になっていくのがまた面白くもあり皮肉でもある。かなり渉優勢かと思いきや、彼が弁護士・財田(水野美紀)のバックアップを受けていることにも気づいているマサトは次の一手に出る。

渉への当て付けかのように隣の部屋に引っ越して来たかと思いきや、嵐のように去っていったマサトが次に送り込んだ刺客は、女優の竹場ナオミ(藤原紀香)。目のやり場に困るような服装で片頭痛だと言って倒れかけ、渉にもたれかかる。このナオミが新たなる隣人になるなんて、波乱の幕開けの予感しかしない。

藤原と言えば、映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』では実生活でも夫の片岡愛之助と、それぞれ神戸市長役、大阪府知事役としていがみ合う夫婦役で登場。夫婦初共演、かつその2人の仲を切り裂くように投入される京都市長(川﨑麻世)との一悶着もあり、あのキャラの濃い人物たちの中でもかなりのインパクトを残していた。振り切れたキャラになりきる藤原は圧倒的なオーラや美貌、只者ではない感も相まって、とんでもない嘘のような存在感を発揮し、その爆発力は凄まじい。

そして、これまでも随所に散りばめられていたマサトとその部下・千里(玉田志織)とのただならぬ仲についても明かされる。綾香の前ではドSでしかないマサトだが、千里の前では今度は彼女に焦らされ弄ばれる形勢逆転ぶり。綾香には首輪をつけさせていたが、千里にはマサトがつけてもらう側のようだ。一体本当のマサトはどっちなのだろうか。しかも、仕事の場では千里に指示をする立場であり、さらにこの岡谷家破滅計画も手伝わせているものの、プライベートになれば正反対に切り替わるのだ。片や職場の部下、片や所属タレントの母親と、あまりにも近場で同時進行に関係を続けるマサトの倒錯ぶりが恐ろしいし、シンプルに忙しそうだ。

全員の欲望剥き出しの吹っ切れた演技が味わい深く、次週予告によるとどうやら今度は綾香が、渉とナオミの不倫現場の証拠を抑えようとベッドの下に潜り込みながら動画撮影に臨むというまさかの逆転現象が待ち受けているようだ。綾香はそんな現場に立ち合ってもなお、渉への未練や愛情は全く湧いてこないのだろうか。

(文=佳香(かこ))

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