工夫重ね左義長継承 富山県砺波郷土資料館が市内調査、5年前から2割減

1月13日に若林地区で行われた今年の左義長

 富山県の砺波郷土資料館は、1月7日から14日にかけて砺波市内で行われた左義長の調査を行い、21地区の67カ所で実施されたことが分かった。5年前より約2割減った。日没から昼間への点火にしたり、地区内でまとめて実施したりする地区もあり、調査した高原徹元館長は「形を変えながら、今後も伝統行事が続いていく」とみている。

 左義長は、かつては農村で小正月(1月15日)の前夜に行われ、子どもたちが田んぼに竹でやぐらを立てた。書き初めやしめ飾りを燃やして、習字の上達や無病息災などを願う。

 今回の調査は、砺波郷土資料館の職員3人が実施した。やぐらは1カ所につき1基設置しており、2024年の数は67基。19年の87基と比べて約2割減少した。同館によると、人手不足などを理由に集落単位からより大きい地区単位で実施する所が増えたという。

 若林地区は、これまで集落ごとに行ってきたが、世話をする人が減ったことや田んぼが借りられないことから、グラウンド1カ所で実施。1月13日の左義長では、高さ約8メートルのやぐらに住民約100人が縁起物などを投げ入れた。

 点火は、60年前は日没後の午後6、7時ごろに行っていた。近年は子どもや高齢者らの安全に配慮して昼間に行う所が増え、今年は約6割に上った。

 高原元館長は、左義長は屋外で行い、短時間で済むため、コロナ禍の影響はあまり受けなかったとする。「今後は多少数が減っていくと思うが、習字を燃やすなど昔と変わらない伝統が続いていってほしい」と話した。

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