“6回目のプロテスト”で念願の合格…女子ゴルフ髙木優奈「試合前から涙が止まらなくなる状況だった」諦めずに受け続けた理由とは?

リポーター・スポーツキャスターの秋山真凛がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「アース製薬 Dream Shot ~輝け!ゴルファー」(毎週土曜 7:30~7:55)。ゴルフツアーで活躍するトッププロから、ニューフェイスまで、夢に向かって励む女子プロゴルファーと、彼女たちを支える人々の思い、最新ゴルフ情報を届ける番組です。

今回の放送では、2023年度JLPGAプロテスト合格やJLPGA新人戦優勝などの成績を残し、大きく飛躍した髙木優奈(たかぎ・ゆうな)プロをゲストにお迎えして、お話を伺いました。

(左から)髙木優奈プロ、秋山真凛

◆6回目の挑戦でつかみ取った“プロ資格”

秋山:髙木プロは去年のプロテストに6回目のチャレンジで合格されました。プロとして迎える2024年はいかがですか?

髙木:今は楽しみとワクワクしかないです!

秋山:やっとスタートラインに立って……。

髙木:いろいろありましたけど、あっという間でしたね。

秋山:いつもパワフルで元気な優奈ちゃんですけど、(プロテストに合格するまで)大変だったんだろうなと思いながら見ていました。改めて、この6年間を振り返るとどうでしたか?

髙木:実質1回パスしているシーズンがあるので、初めてテストを受けてからは7年間ということになるんですけど、1回目、2回目は“120%ぐらいの力が出せれば、プロテストに合格するかな”みたいな感じで思っていたので、落ちても“(次は)もっと頑張ろう”っていう気持ちだったんですけど、そこからずっと落ち続けたので、すごく苦しい時期だったなと思います。

本当にきつかったことは、どれだけそのシーズンを頑張っても、TP単年登録(1年間限定のプロ資格 ※現在、同制度は廃止)でレギュラーツアーに出ていても、プロテストに落ちると“この1年は、あまりいい年ではなかった”っていう気持ちになってしまうことがすごくつらかったです。

秋山:それでもあきらめずにプロテストを受け続けた理由は何ですか?

髙木:実は2022年度のプロテストに落ちたときに、結構いろんな人に「もうゴルフを辞めます」って言っていたんです。(プロテストになると)パターは入らないし、何もかもがうまくいかないし、試合前から、もう涙が止まらなくなる状況だったので、「プロテストに受からないと試合(JLPGAが主管する日本の女子ツアー)に出られない」っていうシステムの時点で、「私はプロとしてはやっていけないので、辞めます」っていうふうに言っていたんです。

秋山:それが、何で気持ちが変わったんですか?

髙木:本当にいろいろな人に助けてもらいました。仲の良いプロの方もそうですし、地元の友達と遊びに行ったり、何にもしない日が1ヵ月半ぐらいあったり、「ゴルフ日本シリーズJTカップ」とか「Hitachi 3Tours Championship」の試合を観に行ったりして。そうしたら“やりたくない”って思っていたのに、“やっぱり、ゴルフがしたい!”って次第に思うようになりました。

秋山:お話を聞いていて、ゴルフを通して大変な経験をたくさんして、やっとスタートラインに立っているんだなということを改めて感じました。

◆新人戦で優勝! 優勝会見の意外な真実

秋山:プロテスト合格後におこなわれたQT(クォリファイングトーナメント/翌年度のJLPGAツアーおよびJLPGAステップ・アップ・ツアーの出場資格を決定するためのトーナメント)のファイナルステージで、なんと前半戦の出場権を見事にゲット。そして「LPGA新人戦 加賀電子カップ(96期生)」では優勝! すごいですね。

「LPGA新人戦 加賀電子カップ(96期生)」で優勝したときの髙木優奈プロ

髙木:ありがとうございます。

秋山:本番前に少しお話をしていたら、QTは全然緊張しなかったと(笑)。

髙木:はい(笑)。会場でもいろんな先輩プロに「合格おめでとう!」「良かったね!」っていう言葉をいただいたので、(試合前から)すごく気持ちが良かったというか……。

秋山:今度はプロとして(QTを)受けられるという、一番難しいところ(プロテスト)をクリアできたというのが、いい気持ちにつながったのかもしれないですね。

髙木:プロテストがもう嫌で嫌でしょうがなくて、それを合格できたことが何よりもうれしかったので、(ツアー中は)楽ではないけど“QTを受けられるだけで幸せ”っていう気持ちになれました。

秋山:あと「ファイナルになればキャディさんがつけられるから、大丈夫」とおっしゃっていたのが気になりました。

髙木:私は、プレー中もしゃべっていないとゴルフができないんですよ。楽しくゴルフをしているときのほうがスコアも結果もいいので、とにかく誰か話し相手がいるだけでも大きな違いでした。

秋山:そんなQTファイナルステージを無事14位で終え、その後の新人戦ではプロとして最初の優勝となりましたが、いかがでした?

髙木:かなり楽しかったです(笑)。

秋山:私にもそう見えました(笑)。優勝会見では「プロになるのに6年かかって良かった」という言葉が非常に印象的でした。そう言えた理由はなぜですか?

髙木:そのときは、今年から(試合日数が2日間から)3日間になり、優勝賞金も270万円に増えた年に優勝できたので、もし2、3回で合格していたら(賞金が)90万円も少なかったから、賞金が上がった年に新人戦に出られたので「良かったな」って……(笑)。

秋山:そういうことだったの(笑)? これはメディアの皆さんに感謝ですね、きれいな感じに書いてもらいましたね(笑)。

髙木:(笑)。でも本当に“6年かかって良かったな”と思っています。もしプロテストにスルっと合格していたら、経験できなかったことがたくさんあったので。オーストラリアに行ったこともそうですし、先輩の原田香里さんや不動裕理さんと一緒にラウンドさせてもらう機会をいただいたこともあるんですけど、それも多分、試合があったら回らせてもらう時間がないと思うので。

そういった機会を“与えていただいた”という感謝を、ほかの人よりも感じられる人間になったなと思いますね。本当につらいときにサポートしてくださった人たちがいなかったら、やっぱり、今ここにはいないので。

秋山:いい人たちに恵まれていると思いますよ。周りにいる方たちは温かいし、同じぐらいゴルフ愛が強い人たちですもんね。

髙木:本当にご縁に恵まれていて、運はすごい持っているなと思います。新人戦の優勝はもちろんうれしかったし、お世話になった方々にとってもすごくうれしいニュースだったとは思うんですけど、まだまだ返しきれないほどの恩がありますし、私自身も満足できていないので、これからもっと一生懸命頑張らないといけないなって思っています。

<番組概要>
番組名:アース製薬 Dream Shot ~輝け!ゴルファー
放送日時:毎週土曜 7:30~7:55
パーソナリティ:秋山真凜
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/shot/

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