【薬剤師監修】年齢のせいじゃない!ぎっくり腰の原因や対処法は?

年齢に関わらず、誰でもぎっくり腰になる可能性はあります。ぎっくり腰になったとき、どのように対処すればいいのでしょうか。原因や対策を薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。

ぎっくり腰の原因や症状って?

ぎっくり腰は、正式には「急性腰痛症」といい、急激に発生した腰痛を意味します。ぎっくり腰の原因や症状を確認しましょう。

原因

ぎっくり腰のはっきりした原因は、まだ解明されていません。ただし、多くの場合は「くしゃみをしたとき」「物を拾おうとしたとき」に発生するといわれています。

これらの共通点は「中腰で行う動作」ということです。このとき、人間の背骨にあり、クッションの役割を果たす「椎間板(ついかんばん)」に圧力がかかることで、ぎっくり腰になる可能性が高いと考えられています。

代表的な症状

ぎっくり腰は、瞬間的に強い痛みが生じるのが特徴です。一般的には数日~10日程度で症状がなくなるでしょう。

一方、痛みが2週間以上続く場合は、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症など、ぎっくり腰以外の病気が原因の可能性が高いと考えられるので、速やかに整形外科を受診しましょう。

病院での対処法は?

病院を受診した場合、痛みの原因が本当にぎっくり腰なのか、レントゲン検査やCT、MRIを用いて精査されます。その結果、ぎっくり腰だと診断された場合、湿布薬や飲み薬を処方されることが多いでしょう。

ぎっくり腰の治療薬としては、主にロキソプロフェンナトリウムやジクロフェナクナトリウムなどの成分の入った「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」が用いられます。

病院を受診すべきぎっくり腰は?

一般的に、ぎっくり腰はセルフケアでの対処が可能です。ただし、なかには病院を受診すべきぎっくり腰もあります。代表的な3つの症状を紹介します。

代表的な症状①何度も繰り返し、治らない

一度は痛みが回復しても繰り返す、または2週間以上経っても痛みが治まらない場合は、椎間板ヘルニアや腰椎分離症などの病気が原因の可能性があります。整形外科を受診し、痛みの原因を特定してもらいましょう。

代表的な症状②痛みや麻痺がある

下肢の痛みや痺れは、ぎっくり腰ではなく椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の疑いがあります。

また、下肢が麻痺していたり、排尿・排便障害があったりする場合も、腰に神経障害が起きているサインです。ただちに手術が必要なケースもあるので、2週間を待たずに整形外科を受診してください。

代表的な症状③発熱、嘔吐、血尿の症状がある

発熱や嘔吐といった症状がある場合は、脊椎炎などの感染症や、尿路結石による腰痛の可能性があります。

一般的に、痛みが2週間以上続く場合がぎっくり腰の受診の目安ですが、このような症状がある場合も、早期に整形外科あるいはリウマチ科を受診しましょう。

ぎっくり腰への対処法は?

病院を受診するほどではない場合に活用できる、ぎっくり腰へのセルフケアを紹介します。

対処法①寝る姿勢の改善

ぎっくり腰になると、腰に負担がかかるため、足を伸ばして仰向けで寝るのは難しいでしょう。強い痛みがあるうちは、ひざの下にクッションや丸めた毛布を置き、ひざを90度ほど曲げた姿勢で仰向けに寝ると楽な方が多いようです。

また、痛い方を上にして横向きで寝たり、ひざの間にクッションを挟んだり、抱き枕を抱いて寝たりするのもおすすめの姿勢です。

対処法②入浴

温めた方が痛みが楽になる場合は、お風呂に入りましょう。

入浴によって「血行がよくなる」「水の浮力によって腰への負担が軽減する」「自律神経が整うことでリラックス効果が得られる」などが期待できます。

ただし、入浴によって痛みが強くなる場合や、患部が熱を持っている場合は、無理にお風呂に入る必要はありません。

対処法③漢方薬の服用

ぎっくり腰による痛みは、漢方薬の服用で楽になる場合もあります。

ぎっくり腰の対策には、鎮痛作用で急性の痛みを和らげるだけでなく、「血行をよくして痛みやしびれを改善する」「筋肉の緊張を和らげる」「からだを温めて筋肉をゆるめる」といった働きを持つ漢方薬がおすすめです。漢方薬はぎっくり腰の原因にアプローチして根本からの改善を目指します。

おすすめの漢方薬はこの3つ

・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):からだの栄養を補い、筋肉の緊張を和らげることで、急な筋肉の痙攣を鎮めて筋肉の痛みに働きかけます。こむら返りや腰痛に効果があり、筋肉痛、腹痛などにも用いられます。

・疎経活血湯(そけいかっけつとう):血行を改善することで足腰の痛み、しびれ、麻痺に働きかけ、腰痛だけでなく、関節痛や神経痛、筋肉痛にも用いられます。

寝る姿勢の改善や入浴といったセルフケアだけでは痛みが取りきれない場合、このような漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬なら毎日服用するだけですので、からだが痛いときでも手軽に服用できます。

ただし、症状や体質に合った最適な漢方薬を自分で選ぶのは難しいですよね。そのような場合は、薬剤師がAIを用いて最適な漢方薬を提案してくれる「あんしん漢方」のサービス利用がおすすめです。

スマホで購入して自宅で受け取れるので、腰痛で外出がつらい場合も利用しやすいサービスですよ。

あんしん漢方 <この記事を書いた人>

山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。症状・体質に合った漢方をスマホで相談、症状緩和と根本改善を目指す。

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