45歳手取り21万円、不倫歴10年…。航空会社スタッフが見た地獄とは(後編)

45歳、出産が難しい年齢になり、これからの人生を自分と向き合って考えようと相談に来られたシオリさん。友達にすら言ったことのない彼との関係を淡々と話してくださいました。後編です。

私は最後にはひとりになる…そう悟って、相談に

このまま不倫関係を続けていっても何も変わらない。サトシはいつか娘さんが結婚してバージンロードを歩き、娘を彼氏に託した後、教会の一番前の席で奥さんを微笑みあうことでしょう。夫婦二人になっても仲良く添い遂げるでしょう。自分のところに来る頻度も減り、いつかフェードアウト。最後に一人になることは容易に想像できました。

今まで一度も出ないことはなかったボーナスは、昨年からゼロに。今後もボーナスをあてにできない状況で貯金もできない。これからずっとおひとりさまだとしても将来大丈夫と思えるようにするにはどうしたらよいか?

迷いに迷って、シオリさんは相談に来られたのです。

シオリさんの家計を公開 次ページ

■シオリさんの家計

月収は残業がないため減。ボーナスも2019年までは夏・冬30万円ずつ出ていたものがゼロに。

いっぽう、家賃は勤務先借り上げのため低額です。特に貯金はしてきませんでしたが、月に3万円ずつ余る見込みだと思っています。ボーナスはもらっても半額しか使わないというマイルールを決めていました。

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■FPからの大切なアドバイス/もう失っていい時間はない

シオリさんがヒアリングでお話くださったとおり、サトシさんはこれだけ長く関係を続けていても奥さんを別れるつもりはないでしょう。シオリさんの想像通りの結果になりそうな気がします。10年という長い年月一緒に過ごし情があると思いますが、最後に辛い思いをするのはシオリさんだけです。

せっかく気が付いた今、サトシさんとの関係を整理しておきましょう。少しの間さびしくても連絡はNG。別れると決めたらここでLINEも消去してしまいましょう。

連絡先はすべて消します。彼のSNSをチェックしても楽しいことはひとつもありません。それもしないでおきましょう。

これからの人生でどんなことがしたいか、これからの夢や希望を具体的にイメージして逆算してどうすれば叶うか考えていきましょう。

シオリさんが老後にもらえる年金の額は、ズバリ… 次ページ

■老後もらえる年金は12万円程度

現在45歳のシオリさん。年金を受け取るまであと20年です。65歳まで働くことが当たり前の時代になっているので、リタイアまでの20年であると見込んでいいでしょう。この時間で年金だけでは足りない金額を準備していきます。

シオリさんのもらえる年金はざっくり12万円。今の生活費は18万円ですが住居費がかなり安く済んでいます。英会話やレジャー費と減らすことにして月17万円の生活費で暮らすと仮定すると

17万円(希望生活費)-12万円(もらえる年金)= 5万円(不足額)

毎月5万円不足となります。

65歳から90歳までの25年間毎月5万円不足するのであれば

5万円×12ヶ月×25年間= 1500万円不足です。

退職金は300万円ほど出る見込み、今の貯金が300万円あるので差し引きすると900万円準備が必要です。

900万円÷20年(今から退職までの年数)= 45万円

毎年45万円ペースで貯金しなくてはいけません。ボーナスがあればその時ある程度まとめて貯められますがしばらく業種的に出るまで時間がかかりそうなので毎月貯めるとすると

45万円÷⒓か月= 3.75万円 ずつ貯金していけばよいことになります。

■あとわずかのやりくりができれば、老後は安心

記載どおりのやりくりができているのであれば、あと7500円捻出できれば毎月3.75万円貯まります。英会話をオンラインに変更すると1.5万円ほど、スマホ料金の見直しをすると5000円で2万円支出を減らすことができます。

今まで月3万円とボーナスで年間30万円貯めていたことになるので、計算上年間66万円、このペースで貯められたのがここ15年間と控えめに計算しても

66万円×15年間=990万円 貯まっていることになりますが、現実の貯金残高は300万円なので、実際には貯められていないようです。

これからは、3万7500円貯めると決めたあら、必ず貯まる引き落とし方式に変更。2万3000円はiDeCo、1万4500円はつみたてNISAやオート定期預金などにします。普段の生活やレジャー費で取り崩さない仕組みを作っておきましょう。

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■その後の彼女は…一歩踏み出せました

シオリさんは、数回のマネーセッションの後サトシさんに別れを告げました。

数回やり直したいと連絡があったようですが奥さんと別れるならと条件を突きつけるとピタリと連絡が来なくなったそう。それだけの関係だったんですねと明るく笑っていらっしゃいました。

サトシさんからプレゼントしてもらった指輪を結婚もしていないのに左手の薬指にしていたシオリさん。10年間のありがとうを込めて中学校の庭に埋めてきたそうです。

指輪をしていないと空港カウンターで今度連絡をと名刺を渡されることも増えてきたとか。ハッピーな連絡が来るのを心待ちにしています。

男女の関係はいろいろなカタチがあるので、何が正しい悪いとは言いにくいですが、相手のせいにせず自分を軸にして考えて「幸せ」と思える生き方をしていきたいものです。

稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)、心理カウンセラー、野菜ソムリエ、ヨガインストラクター(RYT200)
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー。

本記事はリバイバル配信です

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