ロボットを「地産地消」 新年度から福島県 企業に導入、人手不足解消へ

 浜通りにロボットなどの新産業を集積する国家プロジェクト「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の具現化のため、福島県は新年度から県産ロボットを介護施設や医療機関、事業所などに普及させる事業を展開する。ロボットの地産地消を促進するとともに、働き手不足など社会問題の解決につなげる。

 県はモデル事業として社会実装を促すことで、県産ロボットの需要を喚起し、取引の拡大や県民生活の質の向上を図る。県内に拠点を置く開発企業と導入を希望する事業所による共同事業体などを対象に公募し、3件程度を採択する。

 人手が足りない企業や医療機関での書類などの運搬、飲食店での料理の配膳など、県民に身近なサービスへの県産ロボット導入を見込む。南会津町の廃校を拠点とし、ドローンで日用品を配送する取り組みも想定している。

 複数年にわたる実証を経た上で、成果発表会や実証動画の公開を通じて県内外に情報を発信する。販路拡大や県内への関連産業の一層の集積を目指す。2024(令和6)年度一般会計当初予算案に関連事業費約2400万円を付けた。

 県内では最先端ロボットの研究開発が進む一方、認知度が不十分なため現場への導入が一定程度にとどまっている現状がある。県は2016(平成28)年度から県内で製造・開発されたロボットの導入費の半額を補助しているが、農薬散布用ドローン導入への補助が大半で分野に偏りがあるのが実情だ。県は新年度から実施するモデル事業により裾野の拡大を目指す。

© 株式会社福島民報社